・『いじめ加害者にどう対処するか 処罰と被害者優先のケア』
斎藤環・内田良共著 岩波ブックレット
「不登校児童に対して「学校に行かなくてもいいんだよ」という一見優しい言葉は、いじ
め被害者を学校外に追いやる「やさしい排除」と言わざるを得ないと言います。オルタナ
ティブが整備され、心的ケアの体制が整えられることで、被害をうけた側が、居ていいは
ずの教室・学校に居られなくなる構造があります。いじめの加害者は学校に来続けている
のに被害者は学校から離脱し続けます。
いじめについてこれまでは、被害者と加害者の心理にばかり焦点があたりがちでした。
しかし、いじめなどの行為には、『本人の資質』と『環境要因』の双方が関わります。
・・・人は環境で変わる。それは子どもだって同じこと。環境のあり方によって、いじ
めが増えたり減ったりするのです。・・・
いじめ問題にどう対応したらいいでしょうか。絶対に必要なのは ・加害者の謝罪 ・加
害者への処罰 ・被害者の納得 の3点です。」
「活動報告」 2022.8.19
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・『いじめを生む教室
子供を守るために知っておきたいデータと知識』
荻上チキ著 PHP新書 2019年5月
「いじめについてこれまでは、被害者と加害者の心理にばかり焦点があたりがちでした。
しかし、いじめなどの行為には、『本人の資質』と『環境要因』の双方が関わります。
・・・人は環境で変わる。それは子どもだって同じこと。環境のあり方によって、いじ
めが増えたり減ったりするのです。・・・
いじめ対策というのは、『発生したいじめに対応する』『いじめをしないように教育す
る』ばかりが全てではありません。『いじめが起きにくい環境を作る』『人をいじめに追
いやる背景を取り除く』『何がいじめ対策に有効なのかを検証する』など、様々な対策が
必要になります。単純化すれば、いじめ対策は『予防→早期発見→早期対応→検証』のサ
イクルで回す必要があると言えるでしょう。」
「活動報告」 2019.5.28
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・『見て見ぬふりをする社会』
マーガレット・ヘファーナン著 河出書房新社 2011年
あなたも傍観者かもしれない!?
企業の不正や事故のリスク、過重労働、児童虐待もみんな見て見ぬふり!
波風を立てたくない、心配をかけたくない、苦しい決断をしたくない、
自分の信念を捨てたくないといった心理から起こる
傍観者の態度を詳しく分析!
福島原発の事故もそうだった!(帯より)
「完全に矛盾する2つの考えを受け入れようとしたとき、人のこころは混乱する。閾値説
と、どんなに少量でも放射能はがんを引き起こすという説の、両方が正しいということは
ありえない。放射線がすばらしい新技術であるのと同時に、子どもを死に追いやるという
のもありえない。死者は患者を治すものでありながら、患者を病気にするというのもあり
えない。相容れない2つの考えが生む不調和は、耐え難いほど激しい苦悩をもたらす。そ
の苦悩、つまり不調和を減らすもっとも簡単な方法は、どちらか1つの考えを排除し、不
調和をなくすことだ。科学者たちにとっては自説を捨てないことの方が簡単だった。閾値
説とX線は共存できる。医師たちは権威があり、賢く、善人であるという立場を守れる。
アリス・スチュワートの発見は大事な説を生かすために犠牲になった。見て見ぬふりをし
て矛盾する主張を排除すれば不調和は消える。そして自分が最も大切にしている考えを守
ったために、大きな犠牲を出したのだ。」
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・『若者の 「うつ」』 「新型うつ病」 とは何か
傳田健三著 (北海道大学大学院教授) ちくまプリマー新書 2009年
仕事や勉強になると調子が悪くなる
自分を責めず、人のせいにする。 ――でも、つらい……(帯より)
「酷な言い方になるかもしれませんが、過去の栄光に戻ることはできません。なぜなら、
その過去の自分は、がんばりすぎて、疲れ果てた身体を酷使し、無理を重ねたすえ、うつ
病を引き起こしてしまった自分だからです。同じ自分に戻り、また同じように無理を重ね
れば、同じことが繰り返され返されてしまうのです。
過去の自分とは違う、うつとうまく付き合っていく新たなじぶんへと意識を変えなけれ
ばならないいのです。しかし、これを認めることはなかなか大変なことです。大変だけれ
ど、『自分は以前ほどばりばり仕事をこなすことはできない』、『無理を重ねてがんばれ
る人間ではない』、『私はそれほどできるわけではない』、と、自己イメージを修正する
ことが必要なのです。
……弱気で甘い考えだと思われるかもしれません。しかし、うつを抱えながら、それと
うまく付き合っていくことは並大抵のことではありません。『低め安定』を目指そうと決
心することは、とても大きな勇気と決断が必要なのです。」
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・『社員が “うつ” になった時』
荒井千暁著 (産業医) (NHK出版生活人新書 2008年)
「職場の部下が、同僚が、上司が『うつ病』になったとき、周りの仲間はどう対処したら
よいのだろうか――いま『うつ病対策』は、本人や家族だけでなく、職場=会社にこそ求
められている。『こうすればよい』という正解がない中で、『職場うつ対策』のケースス
タディーが、会社・社員の双方に“いい関係”をもたらすヒントになる。」(裏表紙から)
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・『職場はなぜ壊れるのか -産業医が見た人間関係の病理-』
荒井千暁著(産業医) (ちくま新書)
「それまで普通に仕事をしていたひとりの人間が、うつ病になり、不安神経症になり、時
を経て過労死し、過労自殺する前には、一定の減少がかなりの確率で現れている。思考の
コンフェージョン(混乱)だ。
あることが気になって仕事に集中できず、ひとつのことを冷静に判断できないという、
思考の交錯がもたらす混乱のことである。
そののち睡眠不足や自律神経系の乱れが生じ、脳の疲労が昂じて過労現象が訪れる。
(“まえがき”より)
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・『安心して絶望できる人生』
向谷地生良 浦河べてるの家著 (NHK出版生活人新書 2006年)
「『べテルの法則』では、『弱さと弱さ』が集まると『強さや優しさ』が生まれます。強
さと強さの結合は、最も脆い組み合わせです。強さと弱さが集まるとちょっと“いい加減”
になります。私たちの非援助論の根底に流れる私たち1人ひとりが持つ無力さ、専門家の
無力、家族の無力、当事者の無力、これがうまくつながり合ったときに、大きな力が生ま
れるのです。」
・小説 『不適応症候群』
江波戸哲夫著 (角川文庫)
都心のビルにある精神科クリニックの「脅迫神経症」の医師と「アルコール中毒」の院
長による、実話に基づくサラリーマンの患者に対する 「人間的治療」の物語。
リストラうつ病、帰宅拒否症、いじめうつ病……。
「心が壊れていない奴なんていない、精神科医にできるのは、再生の道筋を患者とその家
族に示すことだけ……。」
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・『会社人間のカルテ』
朝日新聞東京本社社会部
朝日新聞社刊
1979年10月~12月に『朝日新聞』の『会社人間のカルテ』の連載をまとめたも
の。サラリーマンの体調不良者が続出していたころの会社の状況がうかがえます。
「『うつ病で来るサラリーマンには、はっきり共通のタイプがあります』と、聖マリアン
ナ医大の長谷川和夫教授(精神神経科)。患者には、管理職になりたてのエリート社員が
多く、彼らに目立つのが『協調性格』だという。他人の意向、期待にいつでも自分を合わ
せようとする。上司や取引先のウケがいいから、出世が早い。それが、自分が部下を持つ
立場になって、つまずく。
『部下が思うように働いてくれない。つい自分で(仕事を)やってしまうのです」。疲
れきって病院にくる“エリート”患者たちに共通の嘆きである。実は、並み外れた『強調
人間』である自分の基準で部下の仕事ぶりをはかってしまう。いわば、独り相撲でいらだ
っている場合が多い。
『きのうまでの同僚や先輩がオニにみえる』と、ある大手企業の若い課長が訴えた。」
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