いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター(IMC)




















  『本』の中のメンタルヘルス  海外




    予測がつかない不安な状態が精神的ストレスに
     上杉忍著『二次大戦下のアメリカ民主主義』

    日本軍のパールハーバー攻撃が行なわれると、アメリカは西海岸にすむ11万7千人の日系人へ
   の対応の検討をはじめました。
    4月30日命令が貼り出され、日系人は5月7日まで指定の場所に集合させられた。そして内陸
   の無人地帯に設置された「再定住センター」と呼ばれた強制収容所に家族単位で定住させられます。
    そこでの生活はどのようなものだったでしょうか。

    この過程における日系人の苦痛について語る際に忘れてはならないことは、当局の個々の政策が
   具体的に日系人にひどい屈辱感や苦痛を与えたことだけではなく、かれらが、当局によってどうさ
   れるのか、全く予測がつかない不安な状態におかれ続けたことである。実は当局の側も長期的な見
   通しを持ちえず、何をどうするかほとんど決まっていなかったというのが実態だったのだが、次々
   と出される唐突で何ら将来展望を示さない当局の命令は、日系人に非常な精神的苦痛を与えた。あ
   る人は語っている。『これで果たしていいのか悪いのかなんて、考えている暇なんてないのよ……
   一体どんなところに連れて行かれるのか、どのくらいいなければいけないのか、何も聞かされてい
   なかったのよ』その精神的ストレスのおかげで精神病患者や自殺者が出た。

    希望をいだけない不安のなかでの苦痛でした。
    44年頃になり、アメリカにとっては戦況が好転すると、45年1月以降、強制収容所政策は解
   除されます。
    この政策にたいして、アメリカ政府は80年代になってから謝罪をします。


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