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韓国
虐殺などしていないと反発する人は戦闘の実際の経験がない人が多い
『戦争記憶の政治学 韓国軍によるベトナム人戦時虐殺問題と和解への道』
伊藤正子著 平凡社 2013年10月刊
「徴兵されて軍隊に入ったのは1965年5月。翌1966年0月にベトナムに派遣され、約5
カ月後の1967年に帰国した。……
駐屯したのはチャビンドンという村だった。『民間人に対して不要な殺傷をしてはいけない』
と教えられたことは一度もなかった。戦場では動くもの全てが敵に見える、それで動くものに向
かって銃を撃つことになる。自分の安全のためにはそうなってしまう。戦闘に従事するうち、戦
友を殺されて復讐に燃え、人を殺すことにどんどん無感覚になっていった。
心に深い傷となって残った事件は1967年2月に起こった。ある日、チャビンドンの村で他
の部隊が捕まえてきていたべトコン容疑者を、自分を含め4人の韓国兵で処刑した。穴を掘らせ、
4人で銃で撃ち殺した。しかし戦争で既に人を殺すことに全く無感覚になっており、血がついた
ままの服でそのまま昼食を食べていて、小隊長に『服を着替えて食べろ』といわれたほどであっ
た。
……
自分の感覚では、戦友会の人たちの中でも、ベトナムでの民間人虐殺事件についての報道や活
動に反発する人たちは、実際の戦闘に参加していなかった人も多いように思う。つまり、参加す
る地位や立場になかった人々。参加した人間のうち、約3分の1は戦闘自体には参加しておらず
後方部隊や支援の立場にあり、そういう人たちは戦闘の実際の経験がないために、虐殺などして
いないと反発する人が多い。逆に実際に戦闘に参加した人たちは、この問題に関して沈黙するだ
けで過激に攻撃してくることは少ない気がする。参戦軍人は32万人もいるので、いろいろな人
がいる。過激な行動をとる人たちは100―200人くらいではないか。」
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