★ 中井久夫 「災害がほんとうに襲った時」 (みすず書房)
中井久夫編 『1995年1月・神戸 「阪神大震災」 下の精神科医たち』
(1995年3月刊 『みすず書房』 に収録)
本稿の電子データの公開および無償頒布につきましては、著者の中井久夫氏とみすず書房
の許諾を得ております。
「災害がほんとうに襲った時」
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★ 『災害とこころのケア』
医学書院
『災害救援者』
「援助者として大切な態度
こころのケアを行う援助者は,次の7つの態度をこころがけ,被災者に接するようにする。
1 支持的であること 被災者の現状をあたたかく受け入れ,その人の価値観や考え方に
敬意を示す。
2 共感的であること 被災者の視点にたち,その状況を実感しながらあたたかい態度で
接する。
3 誠実であること 口で言うことと,こころで思うことを一致させる。少しでも違うと
不誠実と思わせてしまうことになりかねない。
4 肯定的で判断のない態 度被災者は,災害により自身が受けた危機について,それを
まねいた責任は被災者自身にあると他者から判断されることを恐れている。そのように
は判断していないことを伝え,肯定的な態度で接することにより,緊張をほぐすことが
できる。
5 被災者の力の回復 看護職者が被災者の生活にかかわる時間は短いことが多いが,少
しでも被災者が強い気持ちになり,また適切に問題処理ができるように援助する。
6 実際的であること アドバイスやアイデアは実現可能なものであることが求められる。
できることとできないことをはっきりさせ,失望させないことも大切である。
7 守秘および倫理的配慮 被災者の情報を口外しないことは,看護職者の倫理的な義務
であである。」
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★ 報告 東日本大震災における災害医療支援者の心理状況
新福 洋子 原田 奈穂子
聖路加看護学会誌 Vol.18 No.2 2015.1
「(2)『疲労感と脱力感』
帰任後には疲労感と脱力感をもち,思いを人と共有しにくいという感情が語られた.それ
らについて,以下の2つのサブカテゴリーに分類した.
①<どっと疲れた> 被災地にいる際自分のニーズは後回しで,休みを取らずに働き,帰任
した後に疲労感と脱力感を感じる傾向を認めた.「疲れがどっとでた.体というよりも気持
ちとにかくすごい力が抜けた.2日ぐらいは家でぼおっとしてた.なにかできたのかなとか,
役に立ったのかなとか,そういうことをずっと考えていた」(D).
②<人と話したくない> 被災地支援に関して,理解してもらえるかわからない相手には話
すことに抵抗を感じている人もいた.「すごいねとか、えらいねみたいな感じじゃなくって,
自分がなにをしたかったのかとか,なにを学んできたのかとか,こうしたいみたいなのを,
全部自分のなか,整理したのを話せたときに完結みたいな感じはした」(F).
「東日本大震災における災害医療支援者の心理状況」
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★ 救急救命センター看護師の二次受傷対策の実態
-救急救命センターを持つ病院を対象に-
大分県立看護大学 人間関係学研究室 関根 剛 久住真理 2014.05.12
看護師が二次受傷を受けるのは災害派遣や患者暴力だけではありません。日常的な業務に
おいても、悲惨な事故、虐待や犯罪被害、突然の事故や自死の遺族など、PTSDの予防を
必要とする患者は少なくありません。また、そのような患者との関わりによって、看護師が
二次受傷を受ける機会があることがわかってきています。そこで、看護現場においてPTS
D発症の可能性がある患者への対応、看護師が受ける二次受傷を防ぐケア体制の現状につい
て、救急救命センターを有する医療施設の看護部長を対象として調査を行ない、看護師の二
次受傷対策の現状について調査を行ったので報告します。
「救急救命センター看護師の二次受傷対策の実態」
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★ 東日本大震災の災害支援活動に派遣された保健師の
心身の健康に関する調査
山田晴美 久住真理 他
心身健康科学 9巻1号 2013年
救援者の受けるストレスは、大きく3種類に分類される。生活条件が十分確保されない中
で生じる「基礎的(生活)ストレス」、災害現場の劣悪な環境下で長時間活動することで発
生する「累積的ストレス」、生命を脅かされるような出来事・状況からくる「危険的ストレ
ス」である。また、救援者は、トラウマ的体験をした人に深く共感しようとすることによっ
て過覚醒などを生じる「二次的外傷性ストレス」を受ける可能性が示唆されている。さらに、
災害救援者が惨事の現場で経験する本来の適応能力では対処しきれないストレスは「惨事ス
トレス」と呼ばれている。
「東日本大震災の災害支援活動に派遣された保健師の」
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★ 特集:災害支援者における惨事ストレス対策
―産業精神保健の視点から―
被災しながら業務を遂行した看護職への惨事ストレスの支援』
山﨑達枝
『産業精神保健』21巻1号 2013年3月
『被災しながら業務を遂行した看護職への惨事ストレスの支援』
「看護職は常に保健福祉医療の『受け手』である患者(被災者)の視点で看護実践をとらえ
ること,その職務の『担い手』として,社会から要求される役割を職業人として遂行してい
る.そうした中で自らの専門性を最大限に生かすには,『受け手』である被災者からのニー
ズの変化を,『担い手』の看護職役割との調和を被災地においていかに保つかが大きな命題
となる.阪神・淡路大震災から災害対策に国民の価値観が大きく転換したと言われる社会と
のかかわりの中で,看護職の在り方,社会活動を通じて『社会資源』としての看護職がこれ
から担うべき責任や役割について考えていく時が来ている.
阪神・淡路大震災発生時,『病院に登院できない人を責めてはならない』と学んだ。」
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★ リーフレット 『惨事ストレスを被る看護職員への支援』
作成者:筑波大学医学医療系 准教授 三木明子 筑波大学人間系 教授 松井 豊
2013年2月26日
『惨事ストレスを被る看護職員への支援』
「研究2 救急領域の惨事ストレス
●対 象:2011年1~3月 (東日本大震災発生時まで)、ドクターヘリまたはドク
ターカーを有する救急領域の現場に勤務する17病院の看護師411人
●結 果:惨事ストレスの経験が有る者は92.0% (323人)、無い者は8.0%。
惨事ストレスの経験者のうち、IES-R25点以上に分類された看護師は
56人(17.3%)。 」
★ 『惨事ストレスを被った看護職員に対する危機後の支援方法の構築』
筑波大学医学医療系 准教授 三木明子
2013年2月26日
『惨事ストレスを被った看護職員に対する危機後の支援方法の構築』
[惨事後の看護管理者の支援のポイント]
1. 惨事後は、適度な休養・休暇を与えることが必要です。心身ともに疲労していたり、興
奮状態にあることが多いので、休養をとらせるようにして下さい。ストレスがかかると仕
事量を増やす職員もいますが、ストレスを悪化させ逆効果です。
2. 惨事後の職員はすぐに相談できないことがあります。速やかに相談・報告ができなくて
も責めてはいけません。また本人に原因があるかのように話すことは避けましょう。
3. 突然、惨事に遭遇した際、誰でも平常時の対応ができるわけではありません。惨事後の
職員は自責感・怒り・無力感など、複雑な心理状態にあります。個人の対応を責めず、組
織としてどのように対応するのかについて、職場全体に示していきましょう。
4. 惨事後の職員は、……
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★ 新聞記事 『日医総研被災3県調査 福島、
体調不良医師震災前の3.5倍』
河北新報 13.2.11
『日医総研被災3県調査 福島、体調不良医師震災前の3.5倍』
「東日本大震災の被害が大きかった東北3県の医師を対象にした意識調査で『健康状態が
良くない』との回答が福島19.4%、宮城14.1%、岩手12.8%に上ることが10日
分かった。特に福島は震災前に比べ3.5倍の高さ。震災でストレスを感じるとの回答も福
島で62.9%に達し、宮城51.6%、岩手39.2%に比べ際立つ結果となった。」
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★ 新聞記事 『宮城県内の社会福祉施設 震災後、
職員の3割精神状態悪化』
河北新報 2012.5.14
『宮城県内の社会福祉施設 震災後、職員の3割精神状態悪化』
「東日本大震災発生後、宮城県内の社会福祉施設で働く職員の3割が精神状態を悪化さ
せていたことが、全国福祉保育労働組合(東京)などの調査で分かった。非常事態の中、
施設利用者の生命に危険が及ばないよう神経をすり減らしたことや、被災して行き場を失
った高齢者らを新たに受け入れたことによる過重労働が心身への強い負担につながったと
みられる。」
≪活動報告≫14.5.23
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■ 【東日本大震災の救援者の心的外傷後ストレス障害に関する調査
災害後のPTSD予防に向けて】
国立病院機構災害医療センター 精神科 2012.4.26
『東日本大震災の救援者の心的外傷後ストレス障害に関する調査』
「災害発生時には、被災者だけでなく救援者もPTSDを発症する危険性が高くなります。
航空機事故による外傷患者の救助に派遣された医療従事者355人を対象にした研究で
は、事故後18ヵ月以内に13.5%がPTSDを発症したこと、ニューヨークでおきたテ
ロの救助復旧作業にあたった207人を対象にした研究では、テロ後13ヵ月時点に16.
7%がPTSDを発症したことなどが報告されています。
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★ 『大規模災害における保健師の活動マニュアル』
~東日本大震災から学ぶ平常時からの対策~
大阪府保健師長会 大阪府健康医療部健康医療室地域健康感染症課 平成24年3月
『大規模災害における保健師の活動マニュアル』
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★ 座談会 『3ヵ月後の現状とこれから』
中島聡美 ・村上典子 ・大澤智子 ・小西聖子(司会)
『トラウマティック・ストレス誌 vol9-2』 (2011年)
『3ヵ月後の現状とこれから』
「大澤:保健師さんを対象に研修をするには、『体のケアはこころのケア(につながるも
の)』だと何度も伝えています。つまり、こころのケアは保健師業務とは異なる活動では
なく、被災者のこころの安定や生活の安定・再建につながる活動はすべて『こころのケ
ア』になりうるのだ、と。それから、すべてを病的と捉えてしまわないこと、ただし、万
が一『病気』が疑われる際には相手を傷つけないやり方で専門家につなぐのかを考える、
と伝えています。」
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★ 『JR福知山線列車脱線事故にかかる尼崎市保健所の対応』
高岡 道雄 ほか
『日本公衛誌』 第5号(2007年)
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★ 『2007年新潟県中越沖地震の
被災介護施設職員のストレス反応(2)
―被災1年後の質問紙調査結果―』
丹野 宏昭 山崎 達枝 松井豊
「震災対策 《心のケア》」
「業務負担
地震発生から1年間の勤務における苦労」に関する回答結果をFigure.1 に示した。もっ
とも肯定率が高かったのは、「体力的にきつかった(64.6%)」であった。その他に、
「人手不足による苦労が増えた(54.3%)」「現場で混乱が長く続いた(31.5%)」
「仕事に関して、自分の未熟さを感じた(26.8%)」「仕事に関して理想と現実の間の
ズレを感じた(20.5%)」「新しい同僚が増え、教育や情報伝達に苦労した(15.0
%)」「職場の雰囲気が悪くなっていた(11.8%)」はいずれも10%以上が経験して
いた。」
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★ 「雲仙・普賢岳噴火災害地域における
コニュニティの再編成過程」
――島原市安徳地区嵩上げ地域(K地区)の場合――
県立長崎シーボルト大学看護栄養学部看護学科共同研究 2004年
『雲仙・普賢岳噴火災害 』
「地域における保険福祉活動を考えるにあたって、住民の澄んでいる
地域(地区)における生活や生活を支える地域組織活動が大きく影響していると考える。し
かし、日常生活を営んでいる平常時には、当たり前の存在ととして過ごしていることが多い
い。しかし、災害等が発生する非常時には、平常時の生活と地区組織がどのような活動をし
ているかによって、生活の支えが大きく左右されるものと考える。」
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★ 『災害ストレスと心のケア 雲仙・普賢岳噴火災害を起点に』
太田保之 編著
医歯薬出版株式会社 96.8
災害に遭遇し心に傷害を負った被害者,その精神的ケアにいかに取り組むか,雲仙・普
賢岳噴火災害の精神保健活動の体験と豊富な文献から,災害者の危機介入や情報管理など
の指針を具体的に提起。
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★ 特集:阪神・淡路大震災と地域保健
『阪神・淡路大震災における精神科の救援活動』
麻生 克郎 兵庫県立精神保健センター
Bull. Insut. Public Health 44 1995年
『阪神・淡路大震災における精神科の救援活動』
「災害時のメンタルヘルスにとって、救援者地震のケアは大きなテーマである。今回でもそ
れは例外ではなかった。神戸市の中央保健所に入った精神科チームの最初の仕事の1つは、
区役所スタッフの睡眠を確保することであった、と報告されている。避難所で働くスタッフ、
ボランティア、あるいは保健所や区役所で働く公務員などは、彼らの多くも被災者でありな
がら、役割に追われて不眠不休で働き続けていた。いわゆる 『燃えつき』 や対照的な防衛
的そう状態のために治療を必要としたケースも多くみられた。」
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