いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター(IMC)



















  こ こ ろ の ケ ア   感情労働



       ※ 感 情 労 働 と は ※

   「感情労働」とは、1983年にアメリカの社会学者アーリー・
  ホックシールドが著書『管理される心』のなかで「自分の感情を誘
  発したり抑圧したりしながら、相手の中に適切な精神状態を作り出
  すために、自分の外見を維持すること」と定義しています。
   感情労働を必要とする職業は、まず①対面あるいは声による顧客
  との接触があり、②対する相手の中に何らかの感情的変化―感謝の
  念や恐怖心等―を起こすことが要求され、③研修や管理体制を通じ
  て雇用主が労働者の感情活動を支配する、という3つの特徴を備え
  ています。

・・・・・・・
 職 場 の 暴 力 



 



 「ソウル特別市感情労動従事者の 
   権利保護などに関する条令」
   (2016)

 第2章ソウル市の義務
 第5条(ソウル市など感情労働従事者の勤労
  環境改善計画の樹立)
 ①市長は感情労働による精神的ストレス(以
  下「業務ストレス」という)の予防及び感
  情労働従事者の勤労環境改善を支援するた
  め、3年ごとに感情労働従事者勤労環境改
  善計画(以下「改善計画」という)を樹立
  ・施行しなければならない。
 ②第1項の改善計画には次の各号の事項が含
  まれなければならない。
  1.感情労働従事者の権利保護政策基本方
   向、業務分野別核心政策課題、推進目標
   及び実行計画
  2.ソウル市感情労働従事者の雇用現況及
   び展望
  3.業務ストレスによって発生する健康障
   害と事故の現況及びその予防に関する事
   項
  4.休日・休暇及び勤労時間などソウル市
   の感情労働従事者に対する「勤労基準法」
   遵守に関する事項
  5.感情労働高危険職群に対する保護方案
  6.改善計画の実行のための所要財源
  7.感情労働従事者権利保護と増進のため
   の国家及び他の地方自治体との協力
  8.その他、ソウル市など感情労働従事者
   の勤労環境改善に関する事項
 ③市長は改善計画の移行可否を定期的に点検
  ・評価し、次期計画に反映しなければなら
  ない。

 第3章ソウル市感情労働使用者の義務及びソ
  ウル市民の責任
 第11条(機関別マニュアル作成義務)
 ①ソウル市感情労働使用者は、感情労働従事
  者の勤労環境を改善し、感情労働従事者を
  人格主体として配慮する内容の機関別マニ
  ュアルを作成しなければならない。この時、
  機関別マニュアルにはソウル市模範マニュ
  アルを含ませながら機関別特性を反映し次
  の各号の内容を含まなければならない。
  1.感情労働従事者が顧客応対過程で発生
   する問題を解決して手伝ってくれる職場
   内の公式的な制度と手続き
  2.感情労働従事者の上級者が、ソウル市
   感情労働ガイドラインとマニュアルに基
   づき、現場で感情労働に関した責任を引
   き受けることができるという点
  3.感情労働従事者の上級者は、顧客との
   葛藤が発生した時、顧客と感情労働従事
   者双方の話を傾聴しなければならない点
  4.甚だしく不当な要求をする顧客の場合、
   顧客の要求に応じない権利を保障
  5.不当な待遇にあった感情労働従事者の
   業務中断時間に関する事項
  6.個別の感情労働従事者が応対しにくい
   顧客の要求に対する、組織レベルでの対
   応方案
  7.悪性な請願に対する処理専門家の養成、
   熟練された上級者の悪性な顧客担当、悪
   性な顧客専門担当部署の設置などに関す
   る事項
  8.顧客との請願問題を人事及び勤務評価
   に過度に反映させて、無理な感情労働を
   しないようにする点
  9.職場内の苦情や支障事項を伝達するこ
   とができる意思疎通チャンネルに関する
   事項
  10.機関長、中間管理者、感情労働責任
   者、感情労働従事者に対する感情労働関
   連教育の体系的実施に関する事項
 ②ソウル市感情労働使用者は、機関別マニュ
  アルを全勤労者に公開された場所に備え、
  感情労働従事者には別途配布しなければな
  らない。
 ③ソウル市感情労働使用者は、毎年市長に機
  関別マニュアルの遵守可否についての報告
  書を提出しなければならない。

 第18条(ソウル市感情労働従事者権利保護
  委員会の設置)
 ①市長は、ソウル市感情労働従事者の権利保
  護のため、ソウル市内に次の構成員でつく
  られた感情労働関連事項を審議・諮問する
  委員会(以下「委員会」という)を置くこ
  とができる。

 第21条(ソウル市感情労働従事者権利保護
  センターの設置)
  市長は、次の各号の事業を遂行するソウル
 市感情労働従事者権利保護センターを設置す
 ることができる。
  1.ソウル市感情労働従事者権利保護委員
   会の決定事項の執行
  2.感情労働関連実態調査
  3.感情労働従事者保護のためのプログラ
   ム開発及び教育、広報
  4.業務ストレス及びこれによる健康障害
   の予防のための政策研究及び普及
  5.感情労働従事者及び作業場の暴力被害
   に関する相談と支援
  6.第8条、第9条、第10条による報告
   書の検討及び改善事項の導出
  7.その他、感情労働従事者の保護のため
   の事項


  

 ★ 「顧客との関係性を明言し、
    カスハラへの抑止力をつくる」
    日経ビジネス 21.8.5
   「カスタマーサポートの担当者と会員は、友人のようなフレンドリーな関係と定義し
   ている。担当者が過度に丁寧に接したり、へりくだった態度を取ったりはしない。
   『共にラクサスのコミュニティーを維持している』という関係性が崩れるためだ。」
   「例えばお客さんが何かに怒っていたら担当者はとにかく謝る、という風潮は思考停
   止だと私たちは考える。過度に謝ることで、お客さんをいばる人に変えてしまうこと
   もある。サービスに対してのフィードバックには感謝するが、謝罪は必要ないと考え
   ている」
   「カスタマーサポートの担当者と会員は、友人のようなフレンドリーな関係と定義し
   ている。担当者が過度に丁寧に接したり、へりくだった態度を取ったりはしない。
   『共にラクサスのコミュニティーを維持している』という関係性が崩れるためだ。」
   「例えばお客さんが何かに怒っていたら担当者はとにかく謝る、という風潮は思考停
   止だと私たちは考える。過度に謝ることで、お客さんをいばる人に変えてしまうこと
   もある。サービスに対してのフィードバックには感謝するが、謝罪は必要ないと考え
   ている」
   「日経ビジネス」21.8.5


 ★ 「『死にたい』と訴える電話…
     その背後には死にそうなカウンセラーの感情労働」
    ハンギョレ新聞 21.4.27
   「『私たちは一言でいって、最前線で弾を受ける守備隊なんです』
    キム・スルギさん(28)は、「死にたい」という電話を毎日受ける。それぞれ事
   情を持った人々が1393番(自殺予防相談電話)に電話をかけると、キムさんや同
   僚たちにつながる。キムさんは保健福祉部・保健福祉相談センターの危機対応相談チ
   ームで働くカウンセラーだ。
    経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち自殺率1位の韓国で、キムさんは自殺
   予防という公務を担当するが、公務員ではない。
   間で、所属する会社内で職場内いじめがどれだけ変化したかを問う質問に対し、回答
   者の71.8%は「変化なし」と答えた。「減少した」という答えは19.8%にとど
   まり、「増えた」も8.4%にのぼった。」
   「ハンギョレ新聞」21.4.27


 ★ 新聞記事 「低賃金に過労、感情労働…
       公益活動家は身も心も“バーンアウト”」
    ハンギョレ新聞 19.11.28
   「市民団体『人権財団サラム』と『人権運動トハギ』は28日、ソウル市麻浦区(マ
   ポグ)の人権財団サラムの事務室で『持続可能な人権運動のための活動家調査結果報
   告大会』を開き、調査結果を発表した。71の人権運動団体の活動家125人(常勤
   108人、半常勤17人)を対象に、6月17日から34日間かけて実施した今回の
   実態調査で、活動家は「身も心も辛い」と訴えた。
    常勤活動家にとって長時間労働は当たり前だった。常勤活動家の半数を超える5
   5人(51%)が、一日平均9時間を超えて勤めると答え、36人(33.4%)が週6
   日以上働いていた。」
   ハンギョレ新聞 19.11.28

 ★ 新聞記事 「生活苦にある市民活動家の
       “つっかい棒”になりましょう」
    ハンギョレ新聞 19.4.29
   「『市民団体活動家が生活苦のために現場を離れるほかない現実があまりにも残念で
   す。 銀行借り入れさえできません。 地域のある50代の活動家が涙を流しながら
   “共済会”を必ず作ろうと言って両手を握った時は私も思わず涙が出ました』
    市民団体活動家の生活は厳しい。低賃金のせいで相当数が数千万ウォンずつ借金を
   している。4大保険と年金加入のできない団体が多くて老後設計は思いもよらない。」
   ハンギョレ新聞 19.4.29

 ★ 新聞記事 「顧客のパワハラで改正された産業安全保健法、
       公共機関の相談員の待遇も改善」
    ハンギョレ新聞 19.4.2
   「一日中電話応対をする相談員たちは、一日に何度も言葉の暴力の被害を受けるが、
   親切さを維持しようとするために一部の相談員は顔は笑っていても憂うつな感情が続
   く『スマイル症候群』を患ったりもする。
    昨年10月18日、改正案が施行された産業安全保健法(産安法)で一日平均55件
   の相談を受けてきた公共機関の相談コールセンターの相談員が、相談者に暴言やセク
   ハラを受けた場合、電話を切ることができる法的根拠が設けられた。」
   ハンギョレ新聞 19.4.2


 ★ 「お客様は神様」がドイツ人にはありえない理由」
    熊谷徹 在独ジャーナリスト  東洋経済  19.4.15
   「ところが日本の常識は、ドイツでは通用しない。この国の店や企業では、職務分掌
   が厳しく決められており、いくら忙しいときでも、ほかの人の仕事を取ることは許さ
   れない。たとえ客から頼まれても、順番を待つ客が長蛇の列を作っていても、店の内
   部の決まりを破ってはならない。つまり日本に比べると融通が利かず、柔軟性に欠け
   るのだ。
    お客様は神様ではない。『パンを買いたかったら、わが店の決まりを守って辛抱強
   く待て」というわけだ。」
   「お客様は神様」がドイツ人にはありえない理由」


 ★ 客室乗務員の感情労働
    言われたこと、言われ方で傷つけられる
    最近のニュースから 17.2.16
   「『お客様は神様』ではありません。特に客室乗務員には安全業務があります。何か
   あって脱出してもらったりするときは乗客に個人の感情を押し殺して従ってもらわな
   ければなりません。だから乗客の要求を受け入れるだけではなく、ある程度はびしっ
   としていないとダメだよと昔からいい伝えられていますし、私たちも後輩に伝えてい
   ます。
    今サービス業の競争が激しく、客はいい方へと流れていくなかで、どうしても従業
   員に無理を強いるような経営体質になりつつあります。」
   「客室乗務員の感情労働 」


 ★ 韓国 「感情労働で『心に傷』を受けて働く金融労働者
    毎日労働ニュース 16.12.28
   「討論会の参加者は金融労働者に業務の自律性を与えて、評価システムを改善しなけ
   ればなければならないと声を揃えた。チョン社会健康研究所所長は『職務の設計は経
   営者の権限だが、勤労者に若干の自律性さえ与えられれば、顧客との摩擦を産み出す
   状況を現場で解決できる』とし、『感情労働の我慢は成果評価に繋がっているので、
   成果評価制の廃止や、他の評価方法を導入すべきだ』と提案した。
    特に、金融監督院が、金融会社別の悪性苦情を収集して事例を共有し、ガイドライ
   ンを示すべきだと提案した。労組の役割も強調した。『金融圏の労組も保健医療労組
   のように、定期的に労働環境・健康に関する実態調査を実施し、現況を把握して救済
   方法を見付けなければならない』と話した。
   「感情労働で『心に傷』を受けて働く金融労働者」


 ★ 韓国 「感情労働 実態と改善方法」
    イム・サンヒョク(韓国)労働環境健康研究所所長
    関西労働安全センターは、16年12月19日、韓国の労働環境健康研究所所長イ
   ム・サンヒョクさんをお招きして講演会を開催しました。講演内容の録音を起こしま
   した(仮)。

   「これら(感情労働)は消費者の問題ではありません。過度なサービスを要求したり、
   正確な情報を伝えていないなどの企業の問題です。
    韓国では興味深い現象が起きています。椅子をおけというキャンペーンがきっかけ
   となって、今回初めて消費者団体と労働組合が一緒になってキャンペーンがおこなわ
   れます。韓国での消費者団体は、保守的な団体です。
    ヨーロッパにいくとデパートなどではすべての労働者が座っています。スーパーで
   買い物をしても労働者は立ってくれません。客の方が物を移動します。椅子をおくキ
   ャンペーンが成功したのは、消費者が必要だと思ったからです。疲れないほうが労働
   者のサービスが向上します。
    感情労働も同じです。自分の娘や妻が感情労働をしています。ですから連帯しやす
   いテーマの1つでした。
    おもしろい話ですが、キャンペーンには企業も参加しています。消費者、感情労働
   者、企業が一緒の行動をしています。企業も成功して事例だと発表しています。その
   ような変化が出始めています。なぜ成功したのかというと、今の韓国では、これが正
   しいと認められるとみんなが一緒に動きます。
    感情労働に真剣に取り組んでいる労働組合のほとんどが民主労総です。これらが一
   緒になって企業に感情労働について対策を取るよう申し入れをします。とても意味の
   あることです。10%の労働者は同僚には話しています。」
   「感情労働 実態と改善方法」
   「感情労働 実態と改善方法」
   ≪活動報告≫ 16.12.21


 ★ 「韓国の感情労働」 労働環境健康研究所を訪問
    「過度な親切は止めましょう」
     「ただし私が買うときは正当な情報を伝えてください」
    いじめ メンタルヘルス労働者支援センター 千葉 茂
    『安全センター情報』2016.3号  全国労働安全衛生センター連絡会議
   「韓国の労働者の労働条件、処遇、健康、労働安全衛生は労働組合がキャンペーンな
   どを展開し、地域住民や利用者を共感させて共同の闘いを組んで向上させている。そ
   の闘いに労働環境健康研究所はコミットしている。そして社会環境を変えていってい
   る。
    『お客様は神様』ではない。労働者と消費者・利用者はお互いに人権と人格を認め
   合い、社会のパートナーとして理解しあって共生していくことの大切さを痛感させら
   れた。」
    ≪活動報告≫ 15.11.20
    ≪活動報告≫ 15.11.26


 ★ 「韓国で『感情労働』が最も深刻な職業は
     テレフォンオペレーター」
    ハンギョレ新聞 15.10.13
   「韓国雇用情報院は昨年6月から4カ月間、韓国内730種の主要職種で働く労働者
   35人ずつ、計2万5550人を対象に感情労働の強度を調査した結果、テレフォン
   オペレーターの感情労働が最も強度が高いことが明らかになったと13日、明らかに    した。
   「韓国で『感情労働』が最も深刻な職業は・・・」


 ★ 「韓国、止まらない過労死 感情労働
     『愛してます、お客様』の苛酷…」
    産経新聞 16.1.15
   「たとえば、郵便集配員。『労働者運動研究所』の調査によると、郵便集配員の1週
   間当たりの労働時間は平均64・6時間で、一般労働者の平均を20時間も上回る。
   その結果、5年間で1653人が過労死や集配中の事故に遭ったという。
    韓国の郵便事業は政府が運営しているが、慢性的な赤字に伴う人員削減によって、
   現場の集配員は土曜勤務や繁忙期の徹夜勤務を強いられている。15年10月には労
   働組合がソウル市内で抗議集会を開き、「殺人的な長時間労働を撤廃せよ」などと訴
   えるプラカードを掲げてデモ行進した。
    「韓国、止まらない過労死」


 ★ 韓国 「感情労働者の苦衷、ちょっとだけ考えて見てください」
    ハンギョレ新聞 15.5.1
   「伝えてください

    今日差し上げる
    バラの花もバンドエイドも
    申し訳ないですが
    あなたの為のものではありません

    日常で出会う
    感情労働者に差し上げてください

    あたりまえの日常に対する感謝と
    互いの労働に対する尊重を
    私たちから始めましょう
    たった今から」
   「感情労働者の苦衷、ちょっとだけ考えて見てください」


 ★ 「韓国で『感情労働』に対する労災認定が大幅に増加」
    ハンギョレ新聞 15.4.23
   「働く過程で『感情労働』に悩まされたり、暴言・ストレスによるうつ病、パニック
   障害などの精神疾患が、労災として認められる割合が最近大きく増えたことが分かっ
   た。シム・サンジョン正義党議員が勤労福祉公団から提出してもらって22日に公開
   した「精神疾患労災申請と判定件数」資料によると、様々な精神疾患を理由に労災を
   申請した労働者は、2010年89人から昨年137人に増え、これが認められる比
   率も23.6%(21人)から34.3%(47人)に増加した。
   「韓国で『感情労働』に対する労災認定が大幅に増加」
   「出勤途上災害・感情労働に労災認定」
   「政府は感情労働・精神疾患を労災と認定せよ」


 ★ 韓国 「【社説】『デパート母娘事件』…他人に対する
     配慮が消えた韓国社会」
    中央日報 15.1.8
   「事実関係を確かめてみると、特権層の権力乱用というよりは客の我が物顔の振る舞
   いといえるだろう。だが、多くの人はこの事件を起こした母娘の単なる逸脱行為とは
   見ていない雰囲気だ。私たちの周辺でよく目撃する後進的な実状だからだ。
   「『デパート母娘事件』…他人に対する配慮が消えた韓国社会」


 ★ 韓国 「デパート従業員も売場で水を飲めるようにしよう」
    ハンギョレ新聞 14.11.12
   「光州(クァンジュ)女性民友会は13日、光州市東区大仁(テイン)洞のロッテ百貨
   店光州店付近で『デパートには人がいます』という主題で『尊重の帯つなぎキャンペ
   ーン』を実施する。デパートの女性労働者が人権を尊重されて仕事が出来る労働環境
   を作ることを促すためだ。……
    この団体は市民に△デパート労働者に丁寧語を使い△返品・払い戻し規定をよく熟
   知して不合理な要求をせず△会計をする時にはカードや紙幣を放り投げず△不必要な
   スキンシップや言語セクハラをしない、などを守ろうと知らせる計画だ。また、この
   団体は『売場に商品がない時、デパート労働者たちは顧客を待たせないよう倉庫まで
   走って取りに行くよう努めているので余裕ある心でゆっくり待とう、と市民に知らせ
   る』と明らかにした。」
   「デパート従業員も売場で水を飲めるようにしよう」
   「ソウル市、女性労働者を訪ねてストレス管理」


 ★ 韓国 「『感情労働』から社員を守る企業が増える兆し」
    ハンギョレ新聞 2014年10月14日
   「顧客対面が多い流通業界を中心に、職員の感情労働に対する代案準備が進んでい
   る。“お客様は神様”という風土の下に職員に全面的責任を転嫁するのが以前の文化
   だとすれば、職員のうつ病、自殺など深刻な後遺症が社会的に台頭して“悪質な顧
   客”を選び出して職員を保護しようという動きが広がっているわけだ。
    イーマートの場合、職員が労働組合を中心に昨年から感情労働の価値を認めてほし
   いと訴えてきた。イーマート労組は昨年4月から今年4月まで「感情労働の価値認定
   と顧客応対マニュアル作成」を団体協約に反映させることを要求した。チョン・スチ
   ャン イーマート労組委員長は『感情労働は顧客応対の内部原則が守られないために
   発生する場合が多い。マニュアルも重要だが、そのような状況を源泉から遮断できる
   環境造成も重要だ』と話した。」
   「『感情労働』から社員を守る企業が増える兆し」
   「タサン・コールセンター 公共機関で初めて『有給感情休暇』保障」
   「イーマート・CJ第一製糖など、 ソウル市と『感情労働者人権保護協約』締結」
   ≪活動報告≫ 15.1.27


 ★ 韓国 「暴言にセクハラ…深刻な青年アルバイトの『感情労働』」
    ハンギョレ新聞 2014年9月24日
   「暴言にセクハラ…深刻な青年アルバイトの『感情労働』」
   「ソウル松坡(ソンパ)区新川(シンチョン)洞のあるビヤホールでアルバイトをし
   ていたリュさん(26)が体験したことだ。また、チャンさんは「オーストラリアの
   ワーキングホリデーのプログラムに参加した時は、お客さんの行きすぎた要求はマネ
   ジャーが遮断してくれました。 と
    ころが韓国では『お前がお客さんにうまく接しないからだ』という言葉がとても自
   然に出てくる」とうんざりした顔をした。」
   ≪活動報告≫ 15.1.27


 ★ 特集 『窓口対応職員の危機管理を考える』
   総論 対応の核心は 「交渉を長期化させないこと」
      法的対応も躊躇しない姿勢が重要
     弁護士 横山 雅文
   寄稿 クレームの種類を見極め必要な時は組織の連携プレーで対応
     増田 勝之
   ルポ1 不当要求に発展させない初期対応の徹底と「相談ルート」の
       確立によって職員を守る
     兵庫県神戸市
   ルポ2 職員を孤立させず、組織で行政対象暴力に対応
     千葉県
    『地方公務員 安全と健康フォーラム』 第89号 (2014年1月)


 ★ 韓国  連載[監視統制、崖っぷちの感情労働者]
    ハンギョレ新聞 13.11.15~13.12.5
   1.死の前に立つ感情労働者
     会社の『感情統制』と『監視』に二回泣く
     「死の前に立つ感情労働者」
   2.白衣で隠された統制の陰、看護師
     靴下に穴があくほど病院を飛び回るのに笑えというのか?
     「白衣で隠された統制の陰、看護師」
   3.強要された笑い、デパート販売労働者
     デパート労働者を監視する数百の目...CCTVと覆面監視団
     「強要された笑い、デパート販売労働者」
   4.監視と統制、保育労働者
     「私は自分の子供の世話してはいけないのですか?」二重統制に苦しむ保育教師
     「監視と統制、保育労働者」
   5.過労死でなければ自殺、社会福祉士
     「われわれはボランティアではなく社会福祉労働者です」
     「過労死でなければ自殺、社会福祉士」
     1月31日 イ○○龍仁市社会福祉担当公務員自殺
     2月26日 カン○○城南市社会福祉担当公務員自殺
     3月19日 アン○○蔚山市社会福祉担当公務員自殺
     5月15日 キム○○論山市社会福祉担当公務員自殺
     10月29日 パク○○楊平郡庁社会福祉担当公務員過労死...
      福祉国家を叫ぶ韓国社会で2013年を生きる社会福祉士の姿だ。
      4月に労働環境健康研究所が実施した「社会福祉公務員健康実態アンケート調
     査」によれば、社会福祉専門担当公務員の37.9%が心理相談が必要な重度の
     鬱、高度の鬱であることが明らかになった。回答者の27.5%は自殺の衝動を
     感じたことがあると答えた。
      社会福祉担当公務員のA氏(女、44歳)は12年間毎日、アルコール中毒者や
     鬱病、精神疾患などを抱える人々と向き合う。請願人の怒りとかんしゃくはその
     まま社会福祉担当公務員個人の役割だ。社会福祉業務だけでなく、押し寄せる行
     政業務まで、一日を過ごすとへとへとになってしまう。
     「初めは助けるという気持ちでこの仕事を始めましたが、彼らのつらい話でも厳
     しい声を聞いていると、つらい時が多いです。酔っ払った状態で刀を持って訪ね
     てきた人もいたし、激しい鬱病に何時間も哀訴を聞いていると疲れます。腹が立
     ったり、いらいらしたり、怖くなっても表情に出すことができませんから・・・
     電話で抗議した請願人が『今から行くからその場にじっとしていろ』といえば、
     一日中扉ばかり見つめるようになります。いつその請願人が入ってきて怒鳴られ
     るかわからず、おびえながら一日を送ります。10年間いろいろな人を相手にし
     てきたので慣れたみたいですが、人々の悪態は時間が経っても嫌で、適応できま
     せん・・周辺で10年以上社会福祉業務を担当する人たちは怒りの調節がうまく      できないようです。・・公務員組織内でも行政職より数も少なく、私たちの感情
     労働や業務ストレスについて話しても、他の公務員はよく理解できないから・・
     疎外感のようなものも感じます」。
      連続した社会福祉担当公務員の死の後、保健福祉部はいくつかの対策を出して、
     過度な業務量を減らすために新規人員の採用を約束したが、安全行政部と合意で
     きなかったという理由で今日明日と延ばしている。保健福祉業務を遂行する社会
     福祉担当公務員の所属は安全行政部だ。
      政府の対策の後、現場で何が変わったかと聞くと、A氏は「変わった点は、よ
     くわからない。しかし社会福祉担当公務員の死に、保健福祉部や政府の謝罪が一
     言もない現実に腹がたつ」と答えた。
   6. 1人乗務、恐怖と戦う地下鉄乗務員
     「暗黒区間」、死の線路を走る都市鉄道機関士
     「1人乗務、恐怖と戦う地下鉄乗務員」
   7.人員退出プログラムの結末、死んでいくKT労働者
     顧客の苦情が労組弾圧の道具に、南原から浦項に追い出されたKT職員
     「人員退出プログラムの結末、死んでいくKT労働者」
   8.不法派遣の悲劇、サムスン電子サービス労働者
     サムスン電子職員サービスマンは「罪人」です
     「不法派遣の悲劇、サムスン電子サービス労働者」
      「親切」なイメージと態度は、サービスマンにとっては生存権だ。会社は各種
     の評価制度でサービスマンに親切を強要する。サムスン電子サービス顧客応対マ
     ニュアル(MOT)は、一種のサービスマン行動綱領だ。外勤エンジニアの場合、
     名刺の渡し方、服装、謙虚な姿勢、原因結果の説明、徹底した時間遵守、目のあ
     わせかた、挨拶など、12~18種類ある。技師らはマニュアルを熟知して、そ
     の通りに働かなければならない。
      MOTを基準として顧客に満足度を問うサムスン電子サービスの「ハッピーコ
     ール」で10点(とても満足)ではなく8点(満足)以下が一つでもあれば、労働者
     たちは対策書を書く。労働者たちはブラック・コンシュマーからの防御権もない
     ばかりかハッピーコールを基準に実績を圧迫する会社の統制政策に苦しんでいる。
   9.退出悪夢に自殺衝動まで、コールセンター労働者
     苦痛も競争の道具に転落したコールセンター相談員
     「退出悪夢に自殺衝動まで、コールセンター労働者」
   10.感情労働の解決ためには非正規職制限、事業主の制裁が必要
      「笑いが病気を作る」...ドイツと日本、感情労働者は?
     「感情労働の解決ためには非正規職制限、事業主の制裁が必要」
   11.感情労働者の現実、感情労働者の権利
      感情労働、労働と認定して労働者を生かす
     「感情労働者の現実、感情労働者の権利」


 ★ 韓国  ハンギョレ新聞 「感情労働」 連載 13.10.31~13.12.5
   ① 窒息:会社と顧客の間で息がつまる 「感情労働」①
   ② 歯ぎしりする経験から 私もますます ‘怪物’ になっていった 「感情労働」②
   ③ 罵倒されても脅迫受けても無関心…壊れた ‘感情の門 「感情労働」③
   ④ 手袋もせずに障害者の大小便を拭い疥癬にも感染 「感情労働」④
   ⑤ お客様に足蹴にされても…卑屈に、もっと卑屈に 「感情労働」⑤
   ⑥ 苦しめられたソンヒ氏 ‘共感と連帯’ で希望の芽が萌え出した 「感情労働」⑥
   「“感情マヒ”です。誰かが自分に侮辱を与え脅迫すれば、羞恥心、侮蔑感、怒り、
   恐怖などの感情が自然に感じられます。ところが、そのような感情を頻繁に感じ、耐
   え難い状況が繰り返されると、生きるために正常な感情を停止させます。結局は大変
   なこともなく、うれしいこともない、日常的な喜怒哀楽のリズムを全て失うことにな
   ります。
   ≪活動報告≫ 14.2.4


 ★ 韓国 「安全保健公団-デパート業界
        『感情労働者健康保護』 業務協約を締結」
    毎日労働ニュース 2013年6月
   「安全保健公団-デパート業界『感情労働者健康保護』業務協約を締結」
   「非難されても "愛しています、お客様"…感情労働者の涙」
   「協約は最近協力業者に対する大企業の災害予防責任が強調されている中で行われた
   もので、これよって公団は感情労働に伴う職務ストレスを予防するための『自己保護
   マニュアル』を開発・普及させ、各デパートは協力会社と一緒に共同の安全保健プロ
   グラムを運営することに同意した。公団と各業者は 『安全誓約運動』 共同キャンペ
   ーンも展開する。
   ≪活動報告≫ 13.8.27


 ★ 韓国 「【取材日記】ブラック・コンシューマー
      vs 顧客は王様 …韓国社会、どう対応
    「中央日報」 2013.5.7
   「ブラック・コンシューマー vs 顧客は王様」
   「このような状況で、流通業界のA企業の事例は参考に値する。この会社は最近“ブ
   ラックコンシューマー対応法”というマニュアルを作成した。ひどくいきりたったり
   無理な要求をする顧客には第三者を前に出して、売り場に直接訪ねてきた顧客は相談
   室まで案内して、相談室でもずっと怒っているようなら心を落ち着かせられるよう飲
   み物などを提供しろというような組織的な対応法が含まれている。A企業の職員は
   「マニュアルを実行に移した後から、ストレスの強度がはるかに低くなった」と口を
   そろえる。」


 ★ 韓国 「感情労働者に不当要求拒絶、謝らない権利付与せよ」
    毎日労働ニュース 2013年1月14日
   「感情労働者に不当要求拒絶、謝らない権利付与せよ」
   「サービス連盟は感情労働者・消費者・政府・企業のそれぞれの役割を提案した。感
   情労働者は自分の自尊心を高める認識を持って、消費者は感情労働者に対する認識を
   切り替えて、政府は産業災害認定によって、感情労働者を保護することを要求した。
   特に企業には、△安全保健専門担当部署の設置、△社内心理相談室の運営、△事業場
   内の悪口と暴言防止対策作り、△顧客によるセクハラ予防マニュアルの普及を要請し
   た。」
   「清掃の仕事よりさらに過酷なコールセンター… “月給は悪口雑言を浴びる代償”」
   ≪活動報告≫ 13.3.12


 ★ 韓国 「『感情労働』の労災申請に法改正推進」
    「関西労災職業病」 2012.10号
   「『感情労働』の労災申請に法改正推進」


 ★ 「教育職のメンタルヘルスの実態調査より
    ~ メンタルヘルスの向上を目指して~
     岡田倫代 (香川県立観音寺第一高等学校)  平尾 智広,鈴江 毅 (香川大学)
    片山はるみ (浜松医科大学)  藤川 愛 (高松市保健所)
   「『感情労働』の労災申請に法改正推進」
   「さらに,児童・生徒への対応だけでなく,彼らを取り巻く保護者の権利意識の高ま
   り,学校と地域の人々といった多くの違った立場をもつ連携促進から,一層のコミュ
   ニケーション能力が要求されている。すなわち多くの異なる人間の感情を理解しなく
   ては成り立たないサービスとして捉え位置づけられる『感情労働』に従事している。
   感情労働には終わりがなく,ストレスをためてしまいがちな職業である。しかし教育
   職における感情労働の実態は明らかではない。」


 ★ 「感情労働の本質に関する試論
    ―A. R. Hochschildの所論を中心として―」
    佐藤麻衣  今林宏典
    「川崎医療福祉学会誌」 2012
   「一般に喜怒哀楽という言葉がある.これはすなわち『感情』の表出である.感情は
   心理学では長きに渡り研究されて来たが,喜び,悲しみ,愛,憎悪,希望,落胆,怒
   り,恐れなどは人間の行為から表出されるものである.この感情に『労働』という用
   語を結合させて1つの概念を導いたアメリカの社会学者がいる.それがホックシール
   ドその人であり,『感情労働』という概念である.」
   「感情労働の本質に関する試論」


 ★ 特集 「対人支援と感情労働――『感情』というナマモノの
     とりあつかい」
   ・「支援者が『生き残る』こと 巻き込まれと
     感情労働の観点から」
    徳永健介・徳永祥子 大阪市立阿武山学園 児童自立支援専門員
    「そだちと臨床」 2012年4月号
   「支援者は、つらい状況に置かれている子供たちを庇護する立場にある者であって、
   当の支援者が『しんどい』と言うなど不謹慎に聞こえるかもしれません。しかしあえ
   て支援者のそのような感情に焦点を当てることで、そこから支援のダイナミズムが垣
   間見られるかもしれません。……
    それでは、『生き残る』ためにはどうしたらよいのでしょうか。私たちのここまで
   の考えで言えるのは、支援者自らが、どのような感情規制に従っているかを自覚する
   ことです。それは『しんどさ』を軽減する上で有効だと思います。」


 ★ 韓国 「『感情労働』が深刻な健康問題を発生させている」
    「関西労災職業病」 2012.1・2合併号
    「ハンギョレ新聞」 2011.9.16 2011.11.28 2011.11.30
   「[低い声] 灰皿投げられても喉首捉えられても… "愛しています、お客様"」
   「悪口・セクハラなどに苦しみながらも明るく応対する‘感情労働’」
   「‘無理な親切’ 感情労働者 人権侵害 深刻」
   ≪活動報告≫ 12.1.27


 ★ 「地域保健・医療・福祉従事者が体験する職場暴力
    ―看過ごされてきた領域 看過ごされてきた領域 ―」
    厚生労働科学研究費補助金(健康安全・危機管理対策総合事業) 分担研究報告
    分担研究者 佐野 信也 防衛医科大学校准教授
   「地域保健・医療・福祉従事者が体験する職場暴力」
   「身体に加えられる攻撃、暴力についてはその有無も程度も評価しやすく、排除され
   るべきであることに異論はないだろうが、暴力、すなわち心理的な脅威に関しては可
   視的評価が困難である。スタッフの必ずしも適切とはいえない発言や態度に触発され
   た患者やクライアントの暴力であればなおさら、それをインシデント・アクシデント
   として報告していく事情も生じる。実際、攻撃的な職場や態度による心理的暴力が暴
   力の一形態であるとすべての調査において認められているわけではないものの,職業
   的「燃えつき」現象と密接に関連する「職務満足度(jobsatisfaction)」に対する
   心理的暴力の影響は大きいことが広く知られている。
    最近の調査・研究,それらに基づいて編まれたガイドラインでは通常,身体的,心
   理的両面における攻撃的言動,脅迫的・威嚇的言動,性的嫌がらせ,執拗なつきまと
   い行為,相談内容と直接関係ない反復的な電話等々,広範囲の侵害行為を職場暴力
   (Workplace Violence;WPV)に含めている。」


 ★ 「感情労働研究の概観と感情労働方略の概念規定の見直し」
    ―概念規定に起因する問題点の指摘と新たな視点の提示―
    榊原 良太  東京大学教育心理学コース
    東京大学大学院教育学研究科紀要 第51巻 2011年
   「感情労働研究の概観と感情労働方略の概念規定の見直し」


 ★ 「教師の教育行為に現出する 『感情労働』 に関する一考察」
    ―ある小学校教師の戦略的行為に着目して―
    黒羽正見・黒羽 諒  『群馬大学教育実践研究』 別刷 第28号 2011年
    群馬大学教育学部 附属学校教育臨床総合センター
   『教師の教育行為に現出する 『感情労働』 に関する一考察』
   「その結果、教師は学校教育の場において、子どもや保護者に対して、感情を露わにした否
   定的な感情表出・保持を行わないような振る舞い方がとられていた。そして、教師の感情管
   理が学校の暗黙の了解と重なりながら、教師の自己感情の管理にまで踏み込まざるを得ず、
   当然ながらその教師の自己概念を蝕み、傷つけていた。教師は、子どもや保護者とのかかわ
   り合いの状況に応じて、感情を私的に利用して、表層演技や深層演技を通して交換を行う過
   程で、他者に対する敬意を表し、濃密な人間関係の構築に努力していた。
    教師という職業は学校組織の成員として、他者(子ども・保護者・地域住民)との相互行
   為を私的な交わりとして体験し、表現するという職務上の課題を与えられた労働と認知され
   ていた。したがって、教師はその職務を遂行するために、学校(主に管理職)が提示する暗
   黙の感情規則に適合させるように、自分の感情を操作しなければならなかった。そして、教
   師自身が主体的に感じている『自律的な自己感情』と半ば強制的に感じなければならない
   『他律的な自己感情』が一致しない場合でも、保護者との信頼関係の構築を基盤に、子ども
   たちの成長発達を実感することで、そこから生じるストレスを和らげていた。」


 ★ 『保育園における雇用環境と保育者のストレス反応』
     ――雇用形態と非正規職員の比率に着目して
    神谷 哲司 東北大学大学院教育学研究科准教授
    『日本労働研究雑誌』 2・3号 (2011年)


 ★ 「保育者における感情労働と職業的キャリア
    ―年齢、雇用形態、就労意識との関連から―」
    神谷 哲司  東北大学大学院教育学研究科准教授 他3名
    『東北大学大学院教育学研究科研究年報』 第59集第2号 2011年
   『保育者における感情労働と職業的キャリア』


 ★ 「看護師の感情労働
     患者-看護師のコミュニケーションにおいて」
    相馬幸恵 『経営論集』 北海学園大学 第8巻第3・4合併号
   『看護師の感情労働』
   「感情労働の帰結
    感情労働に労働者が支払う代償について,Hochschild 1983)は以下の点を指摘している。
    ①労働者があまりにも一心不乱にしごとに献身し,そのために燃え尽きてしまう危険性の
     あるケース。
    ②労働者は明らかに自分自身を職務と切り離しており,燃え尽きてしまう可能性は少ない
     が,「私は演技をしているのであって,不正直だ」と自分を非難する可能性のあるケー
     ス。
    ③自分の演技から自分を区別しており,そのことで自分を責めることもなく,自分の職務
     は演じる能力を積極的に必要としているのだと考え,演技することから完全に疎外され,
     「私たちはただ夢を売っているだけだ」と皮肉な考えをもってしまう危険のあるケース。
    この3つのケースすべてにおいて,自分自身の役割への適応は,職務環境に対する労働者
   のコントロールが効かないことでさらに深刻化する。職務に打ち込み過ぎて燃え尽きてしま
   うか,あるいは職務から自分自身を取り去って不快な気持ちになるか,このどちらかが起き
   る可能性が多い。


 ★ 特集 : 介護はなぜストレスになるのか
   ・「介護現場のストレス」
     堀之内高久  横浜国立大学保健センター 准教授
   ・「介護従事者のストレス」
     秋山恵美子  NHK学園高等学校専攻科
   ・「障碍者施設における援助者のストレス」
     戸来 睦雄  弘前医療福祉大学短期大学部准教授
   ・「感情労働としての介護」
     田中 かず子  日本基督教大学教授
   ・「介護者と精神疾患」
     渡辺 俊之  高崎健康福祉大学 大学院教授
   「介護ストレスが急激に訪れたり、その量が多大であったり、長期に持続したりする場合に
   精神疾患を来すことが知られている。介護で生ずる精神疾患として最も多いのが、うつ病で
   ある。今日では『介護うつ』という言葉が一般的に使われるようになった。精神医学的には、
   介護うつという特別な疾患名があるわけではない。介護うつとは『介護が主要因となって引
   き起こされたうつ病』と理解してよいであろう。」
   ・「介護ストレスをケアする」
     川崎 美織  介護者の健康を考える会代表/保健師
   「介護者が、心身の疲労やストレスとうまく付き合う方法の一つとして有効なのは、身体の
   五感から働きかけて心身を癒し、活性化するリラクセーション法である。ストレス反応が起
   きている時に、この方法を行うと、心身にリラクセーション反応が起こる。そして、①ここ
   ろに安定した情緒を、もたらし、②からだでは、筋肉などの過剰な緊張状態を軽減し、③人
   が本来持ている自然治癒によってストレスの影響を打ち消す(ストレス状態を軽減する)
    ……などの効果が期待できる。」
    『現代のエスプリ』2010年10月号


 ★ 『感情労働としての看護労働が職業性ストレスに及ぼす影響』
    片山 はるみ 山陽学園大学看護学部看護学科
    『日衛誌』65巻 2010年9月
   『感情労働としての看護労働』


 ★ 「1 年目研修医のバーンアウトと職業性ストレス
     および対処特性の関係」
    井奈波良一, 井上眞人  岐阜大学大学院医学系研究科産業衛生学分野
    日本職業・災害医学会会誌JJOMT Vol. 58, No. 3  平成21年9月
   『1 年目研修医のバーンアウトと職業性ストレスおよび対処特性の関係』


 ★ 『対人援助職者の感情労働における感情的不協和経験の筆記開示』
    関谷大輝、湯川進太郎  筑波大学
    『心理学研究】2009年 第80巻 第4号
   『対人援助職者の感情労働』


 ★ 『ケアと感情労働──異なる学知の交流から考える』
    安部 彰・有馬 斉 編
    『生存学研究センター報告書』[8」立命大学生存学研究センター刊 2009年3月
   『ケアと感情労働──異なる学知の交流から考える』


 ★ 『病院職員が患者および家族からうける暴力被害防止に
     関する研究』
    大阪教育大学大学院教育学研究科健康科学専攻 高橋弘枝
    『対人援助職者の感情労働』
   「暴力が発生した場合の管理者(組織)としての対応
    暴力の発生時は、被害者を守ることを最優先し、迅速にその場で対応する必要がある。
    1)被害者個人へのかかわり
      被害者には必要に応じて応急措置を行い、職員が付き添い別室で休ませる。管理者は、
      報告後ただちに暴力を受けた本人の恐怖心や傷ついた自尊心へのケアを行う。起きた
      暴力について組織として対応することを伝え、組織から守られている実感を持たせ、
      事実と冷静に向き合えるよう支援する。管理者は事実の確認から、経時的に客観的資
      料を作成し原因を振り返っておく。組織の対応プロセスや内容を逐次知らせ、本人の
      意向とずれないようにする。内外のメンタルヘルスケアシステムを活用し、心理的フ
      ォローを行なう。
    2)組織としての対応
      暴力が発生した現場の管理者が現場の責任者として対応する。事実を確認し、被害者
      への対応係、加害者への対応係、連絡調整係等の役割分担を決定し、行動を指示する。


 ★ 「ケアとアシスト」
     石川 准 静岡県立大学国際関係学部教授
     『ケアとアシスト』


 ★ 「公共職業安定職員の精神健康と一般職業紹介の業務
     ストレッサーについて」
    高橋 美保 東京大学大学院研究員
    『日本労働研究雑誌』 2008年7月号
   「このような安定所職員の精神健康状態は、これまでストレスが高いとして注目されてきた
   医療・福祉領域の対人援助職と比較しても不良であることが示唆された。……
    なお、精神健康度に関係する要因として、雇用形態では非常勤より常勤の方が、年齢では
   年配者よりも若年者の方が、男性よりも女性の方が、一般職業紹介経験の短い職員よりも長
   い職員がより精神健康度が悪いことが示唆された。」
   『公共職業安定職員の精神健康と一般職業紹介の業務ストレッサーについて』


 ★ 「感情社会学という暴力
     ─『生きられた感情』 をめぐって─」
    立命館大学産業社会学部准教授 崎山 治男
    『立命館産業社会論集』 第43巻第3号 2007年12月
   『感情社会学という暴力』

 ★ 「感情労働」 時代の過酷
    『AERA』 2007年6月4日号

 ★ 『ケアマネージャーのストレスに関する研究』
    保坂 恵美子 ほか 
    『久留米大学文学部紀要』 社会福祉学科第6号(2006年)


 ★ 『対人サービス労働者をめぐる諸相
    ―生活保護ケースワーカーを手がかりとして―』
    小村 由香
    『早稲田大学大学院文学研究科紀要』 2006年2月
   『対人サービス労働者をめぐる諸相』


 ★ 特集 : 感情労働論 (2)――スキルとしての感情管理
   ・「感情労働とその評価」
     西川 真規子  法政大学経営学部助教授
     「感情労働とその評価」
   ・「看護職における感情労働」
    三井 さよ  法政大学社会学部専任講師
   『看護職における感情労働』
    『大原社会問題研究所雑誌』 2006年2月号

 ★ 特集 : 感情労働論 (1)――スキルとしての感情管理
   ・「欲望喚起装置としての感情労働」
    ――感情労働の「再発見」に向けて
    﨑山 治男  立命館大学産業社会学部助教授
   「……つまり、感情労働の進展に伴う自己感情からの疎外が強調されている。
    ホクシールドのこうした問題関心を学説史的に簡略にまとめるならば、マルクス流の労働
   の商品化に伴う自己疎外というテーゼと、ミルズによる人格の商品化論とを接合させること
   であった。彼女は、マルクスが描き出した19世紀の工場労働者と20世紀のサービス産業
   の労働者とを対比し、19世紀の工場労働者は自らの肉体労働を商品として提供しているの
   に対して、20世紀のサービス産業の労働者は、自らの感情・パーソナリティを商品として
   提供しているのだとする。このように、サービス産業化の進展に伴って感情やパーソナリテ
   ィと職業が結びつけられた結果、労働者たちが統制され、搾取される対象が、身体的な労働
   から「心」を巡るそれへと移行したことを指摘したのが、感情労働の「発見」の一つであっ
   た。
   『欲望喚起装置としての感情労働』
   ・「感情管理とサービス労働の統制」
    鈴木 和雄  弘前大学人文学部・教授
   『感情管理とサービス労働の統制』
      『大原社会問題研究所雑誌』 2006年1月号


 ★ 『保健師の職業性ストレスとソーシャルサポートとの関係』
    山下 由紀子 ほか 
   『保健師のメンタルヘルスにおけるソーシャルサポートの役割』
    ―職業性ストレスと二次的外傷性ストレスの観点から―
    山下 由紀子  聖マリアンナ医学研究所 
    『聖マリアンナ医学研究誌』 通巻79 (2004年)


 ★ 「サービス業における職場暴力及びこの現象を克服する
     対策についての実施基準案」
    ILO  2003.10
   「サービス業における職場暴力」
   「1.3 定義
    この基準のために用いられる用語の定義は次のとおりである。
    1.3.1 職場暴力
     妥当な対応を行っている者が業務の遂行及び直接的な結果に伴って攻撃され、嚇かされ、
    危害を加えられ、傷害を受けるすべての行動、出来事、行為
     注)直接的な結果とは、業務との明確な関連があって、かつ、妥当な期間の範囲で発生
       した行動、出来事、行為と解されるものである。
     ・部内職場暴力とは、管理者、監督者を含めた労働者間で発生したものを言う。
     ・部外職場暴力とは、管理者、監督者を含めた労働者と職場に存在するその他の者との
      間で発生したものを言う。
    1.3.2 サービス業
     この基準において、サービス業は、商業、教育業、金融金融関連業、医療業、ホテル業、
     飲食旅行業、放送娯楽業、郵便通信業、公的サービス業、運輸交通業を含み、第1次産
     業及び第2次産業を含まない。


 ★ 特集 : 感情労働と疲労
   ・「感情労働と現代社会」
    武井 麻子  日本赤十字看護大学・教授
   ・「接客労働の統制と感情労働論」
    鈴木 和雄  弘前大学人文学部・教授
   ・「カウンセリングと疲労」
    高塚 雄介  常磐大学コミュニティ振興学部・助教授 臨床心理士
   「誤解を招く言い方になるかもしれないが、クライエントの話というのは、思いの丈を発散
   させる『グチ』でしかないこともしばしばある。語られる内容からは、どう頑張っても共感
   すべきものが伝わってこないこともある。しかしこのグチを出し尽くすことが、クライエン
   トの変化をもららす大事なきっかけなるという見通しがあれば、カウンセラーの気持ちにゆ
   とりができる。そうするとそれほどの疲れがもたらされることはない。ようするに、『見立
   て』見通しをもつ力がそれを可能にするのである。」

 ★ 「『心』から、『心」へ
    ~感情労働を担うホテル業務の現場から~
    波多野 裕子  作家
    『労働の科学』 2002年8月号


 ★ 特集=感情労働
   ・『「心の時代」 は人を救えるのか』
    小沢 牧子
   ・『「教育の転換」 とスクールカウンセラー』
    篠原 睦治
   ・『ヴェバー社会学と 「感情」 のモーメント』
    渋谷 望  酒井 隆史
    『現代思想』 2000年8月号


  《本の紹介》   

 ★ 『ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか―感情労働の時代』
    武井 麻子 (著)
    大和書房
   「最近では、『9.11』のような衝撃的な事件や阪神淡路大震災などの大規模な自然災害
   後に起こるPTSDを予防するために、当事者が集まってそれぞれが体験したことを話し合
   う『グループ・デフリーフィング』と呼ばれるプログラムが注目されるようになってきまし
   た。グループ・デフリーフィングは一種の危機介入の方法であり、危機グループとも呼ばれ
   ます。
    欧米では、すでに消防士や救急隊員など、危機に遭遇することの多い職種では、こうした
   グループ・デフリーフィングを受けることがルーティンとなっているそうです。……
    グループ・デフリーフィングはとくにグループで行うことで、辛い思いをしているのは自
   分だけではないということを知ることができます。率直に語ることでお互いに助けになるこ
   ともでき、自分たちだけが無力なひがいしゃではないという実感を得ることができます。」
   『感情労働の時代』


 ★ 『感情と看護―人とのかかわりを職業とすることの意味』
    武井 麻子 著
    医学書院、2001年
   「死に直面させられたことで心的外傷を負った患者の感情反応は複雑です。ハーマンは、あ
   るベトナム帰還兵の事例を紹介しています。この患者は戦争中に負傷した後、病院や自分の
   手当をしてくれた看護兵に激しい怒りがわいてきたことを語っています。敵ではなく、看護
   兵が自分を(適切なケアをしないことによって)殺しかけたと感じたのです。
    この事例は、恐怖体験を味わった人がやりようのない怒りを抱くことのほかに、加害者か
   ら介護者にその怒りが転置されることを示しています。  ……
    患者が怒りを向けてくると、どんなに患者の置かれた状況を理解していても、看護師のな
   かにも怒りの感情が生じます。死が避けられないと知ったときの患者の無力感・絶望感は、
   やはり看護師のなかにも同じ感情を引き起こします。まさに看護師が「感情の容器」となっ
   て患者の感情を包みこんでいるのです。
    『感情労働としての看護』   田口ランディ


 ★ 『管理される心 感情が商品になるとき』
    アーリー・ホックシールド著
    『管理される心』


inserted by FC2 system