いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター(IMC)



















 労働安全衛生  職場復帰支援  復職事例


       うつ癒えて 髪を洗へる水音が

           きらめくやうな 韻きかもせり

                             (2012.10.14『朝日歌壇』より)<font>





    体調を崩していた人の体験報告です。

    田舎に帰っていて東京に戻ることを母親に告げ、玄関を出ると目の前の景色が昔の面影を
   残していてとてもきれいなのに気がつきました。
    「きれいだ!」と思うと同時に、この間は何ごとにもきれいだと思わなかったことに“気
    付き”、自分の体調は回復しつつあると実感したといいます。
    「体調が悪い時はきれいなものもきれいに見えないんだよね。体調が回復するときれいな
   ものはきれいと映るんだよ。あの時安心感が生まれ自信が回復した」としみじみと語ってい
   ました。

    体調がいい時は、きれいなものがきれいに見えます。
    休職者の復職への挑戦は、自信の回復に向かうものでなければ成功しません。そのために
   は事業主や職場の仲間のサポートなど、安心感が生まれる職場の環境改善が必須です。


    復職のレベル
     講演 『事例から知る「スポーツとメンタ
        ルヘルス」、ああ実感!!』
      大阪樟蔭女子大学・大学院教授 夏目誠




 職 場 復 帰 の 成 功 例
   『メンタルヘルスの労働相談』(緑風出版)より

  ◇「3か月休むと
    仕事のことが忘れられるよ」

   製造業で勤続が長く、本社勤務から地方の
  営業所長として単身赴任したFさんの例で
  す。
   忙しくて毎日残業、土日も出勤し、家族の
  もとに帰ることもむずかしい状況でした。原
  因は、社内の雰囲気が業績主義などでギクシ
  ャクし、同じような役職者が数人体調を壊し
  ていました。
   赴任後2か月後からうつ病の症状があらわ
  れたので通院を開始しました。一時は通院治
  療でよくなったのですがまた病状が悪化し始
  めました。
   主治医は「3か月間療養」の診断書を書い
  たので、自宅に戻って休職をしました。
   ユニオンは「発症の原因は業績主義にある
  と思うが、病気を抱えていて1人での職場改
  善はむずかしいので、復職に際しては今の現
  場を外れた方がいいと主治医に診断書に書い
  てもらってはどうか。家族のもとから通勤で
  きるところへの転勤希望を出してはどうか」
  とアドバイスしました。
   「またなにかあったら相談に来てくださ
  い」とのアドバイスは心強く感じたたと言っ
  ていました。

   休職中に、実は主治医に早く出社したいと
  相談したとのことです。そうしたら主治医は
  「3か月休みなさい。3か月休むと仕事のこ
  とが忘れられる、出世も諦められるから。し
  かし仕事は逃げないから。リフレッシュ休暇
  と思いなさい。」と言われたとのことです。
  このアドバイスに従い、結局3か月休職しま
  した。
   まもなく休職3か月間の休職明けというこ
  とで会社と話し合いを持った時、会社は「地
  方で復職を」と言ってきましたが、「ちょっ
  と待ってください。地方で発病したので、発
  病したところには戻りたくない」と主張しま
  した。
   3か月の休職期間は、会社との関係を客観
  的に捉えなおすことができ、「出世も諦めら
  れ」“会社人間”から脱皮できたといいま
  す。そうするとこれまで会社に遠慮して主張
  できなかったことができるようになりまし
  た。医者やユニオンなど自分の側に立って心
  配してアドバイスしてくれる人がいるという
  ことが自信と後押しになったといいます。
   結局、賃金は多少ダウンにはなったが本社
  の他部署に復職することになり、単身赴任で
  もなくなったので家族も安心できたというこ
  とです。
   3か月という期間は大きな意味を持ってい
  ます。「仕事のことが忘れられる」期間であ
  るのと同時に業務上のスキルが落ちる、取り
  残されるという不安はまだ起きません。落ち
  ても回復は早くにできます。そして「出世も
  諦められるから」は“力まない”で復職する
  ことを可能にしました。本当の意味での「人
  生のリフレッシュ休暇」 です。


  ◇ 会社と一緒に
      復職プログラムを作る

   あるユニオンでの例です。
  「うつ病で治療中の労働者が職場復帰するに
  あたって、交渉は難航した。会社に復職プロ
  グラムを作れと催促したが作らなかった。し
  かし、何回かの交渉を経て、交渉相手であっ
  た総務部長は、自分なりに復帰支援プログラ
  ムを作ってきた。ユニオンは『これではだめ
  だ』と言いながらもそれをたたき台にして一
  緒に豊富化していった。
   こういう会社もあるのだと感心した。
   3年間休業していたその労働者はなんとか
  復帰することができた。」

   復職の後も、本人、ユニオン、会社、主治
  医で1か月に1度、状況確認を続けて復職を
  成功させたようです。
   会社が、リハビリ勤務や復職許可の判断、
  成功につなげるために、「模擬出勤」や「通
  勤訓練」の日記や記録の作成を義務づけ提出
  させたという例もあります。そうすると会社
  としてどのようなサポートが必要なのかが見
  えてきたりします。


  ◇ 主治医が「会社に行けそう
      だったら行ってみなさい」

  「会社が復職を受け入れるきっかけになった
  のは、アポなしでとにかく会社に行くように
  なったからです。
   主治医から、『まずできるところからやっ
  た方がいいですよ、とにかく会社に行けそう
  だったら行ってみなさい』と言われました。
   そこで病院の帰りにいきなり行きました。
  社員証は持っています。
   最初は会社に入らないで、会社の1階の公
  衆電話から『今会社の1階まで来ました。帰
  ります』で終りました。2回目は人事部の部
  屋まで行って挨拶をしました。
   その後、勝手に朝8時半に挨拶に行くよう
  にしました。
   主治医からリハビリ勤務可能の診断書が出
  ました。そこで団交で、自分の意思を盛り込
  んだ『リハビリ計画書』を出しました。就労
  部署の希望も出しました。『勝手なことをさ
  れては困ります』『では会社案を出してくだ
  さい』というやり取りがポイントになり、団
  交が進展しました。
   それでやっとリハビリ通勤にこぎつけまし
  た。」
   労働者とユニオンは“待ち”ではなく積極
  的提案をして「案」を揉む必要があります。


 * 厚労省「こころの健康問題により休業した労働者の
       職場復帰支援の手引き」
     ~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~(平成21年3月改訂)
   「職場復帰支援の手引き」
    相談活動での相談者の説明や団体交渉では、使用者が「手引き」に書いてあることをすべて
   やってもダメだったから復職不能と結論を出したり、労働者もダメだったと受け入れたりして
   いることがあります。その結果、使用者は「復職できなかった」と安易に退職を強いています。

    しかし使用者が「手引き」に記載してある事項をすべてクリアしたからといって対策を尽く
   したことにはなりません。
    「手引き」には「フォローアップのための面談においては、‥‥労働者及び職場の状況につ
   き労働者本人及び管理監督者から話を聞き、適宜職場復帰支援プランの評価や見直しを行って
   いく」「これらの制度が事業場の側の都合でなく労働者の職場復帰をスムーズに行うこと
   を目的として運用されるよう留意すべきである」と記載されています。
    労働者の職場復帰をスムーズに行うことを目的として、プランの評価や見直しをしていく必
   要があります。「手引き」の運用はそこでおよびます。
    ここからは労使の努力です。
   ≪活動報告≫ 15.9.28
   ≪活動報告≫ 13.5.31
   ≪活動報告≫ 12.12.18
   ≪活動報告≫ 12.3.2


 * 『メンタルヘルス三次予防対策研究会報告書』
    地方公務員災害補償基金  平成21年2月
   『メンタルヘルス三次予防対策研究会報告書』
   「2 メンタルヘルス三次予防対策の考え方
    メンタルヘルス対策は、他の疾病と同様に予防のレベルを三段階に分けることができる。
     ……
   三次予防対策とは、『メンタルヘルス不調により療養していた職員が職場復帰する際、円滑な
   復帰を図るとともに、再び療養状態に陥ることを予防する』ということである。……
    ただし、このメンタルヘルス対策における三段階の分類は、例えば、一時予防対策として位

   置づけられている『職場環境づくり】が不十分であれば、三次予防の範疇である『職場復帰』
   に際して同僚からの支援がマイナスに働くなど、実際の職場においては、明確に切り分けるこ
   とができない。」


    調 査 報 告

 * 新聞記事 「<うつ病休暇> 半数が再取得 『企業は配慮を』
       厚労省研究班」
    毎日新聞 2017年1月8日
   「平成25年『労働安全衛生調査(実態調査)』の概要」
   ≪活動報告≫ 17.2.21
   「調査は、社員1000人以上の大企業など35社を対象に、2002年4月からの6年間に
   うつ病と診断され、病気休暇を取得した後に復帰した社員540人の経過を調べた。その結果、
   うつ病を再発して病気休暇を再取得した人の割合は、復帰から1年で全体の28.3%、2年
   で37.7%と高く、5年以内で47.1%に達していた。」


 * 「企業における社員の健康管理と休職・
     復職時の対応」
    Business Labor Trend 2015.9  労働政策研究・研修機構
   「企業における社員の健康管理と休職・復職時の対応」
   「メンタルヘルス不調の休職者の年齢属性では、若年層(とくに勤続の短い層)に多いとの
   認識を抱く企業もみられる。若年層にみられることから、ストレス耐性の弱さに原因がある
   とする企業もある。入社後、仕事を経験してみて、自身のやりたいことと、仕事の方向性で
   違和感を抱いている層(いわゆる、ミスマッチで就職した層)が存在し、これらの層でメン
   タルヘルス不調を抱く者もいるという。また、近時のメンタルヘルス疾患に対する社会的認
   知度の高まりが、相談体制の充実と相まって、相談者を増やしたとの指摘もあった。そのほ
   かにも、長時間労働や成果主義の影響をあげる企業もある。長年の採用抑制による人員不足
   で、上司が多忙となり、部下・後輩の面倒をみることができなくなった影響をあげる企業も
   あった。」


 * 「平成25年『労働安全衛生調査(実態調査)』の概要」
    厚労省 2014年9月25日
   「平成25年『労働安全衛生調査(実態調査)』の概要」
   ≪活動報告≫ 14.10.10
   「『メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者がいる』事業所のなか
   で、「職場復帰をした労働者がいる」割合は51.1%(24年調査55.0%)です。
    逆にいうと43.5%は復職者がいません。事業所規模が1000人以上においいても、休
   職者数30人以上12.0%、10人から29人44.9%であるにもかかわらず、5.5%に
   おいて復職者がいません。500人から999人までの事業所では、復職者がいない20.5
   %、1割台4.4%です。大手の会社の中には休職期間がかなり長い、しかし復職はさせない
   というところが多いと聞きますが、まさにいったん休職したら復職できないというのが実態に
   なっています。このようなことからも事業所が実施する健康診断、メンタルヘルスチェックが
   労働者から回避される原因があります。
    一方、全員が職場復帰した事業場は、1000人以上で3.9%、500人から999人で
   16.9%です。きちんとメンタルヘルス対策に取り組んでいて、休職者も少ないのだと思わ
   れます。


 * メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の
     両立支援に関する調査」
    労働政策研究・研修機構 2013.6.24
   『メンタルヘルス、私傷病などの調査』
   ≪活動報告≫ 13.7.23
   「メンタルヘルス」の休職者の場合の試し出勤制度(リハビリ出社)については52.9%の
   企業しか回答していません。
    回答の中で、復職に当たって「原則として試し出勤を行っている」30.0%、「試し出勤
   を認めることがある」46.8%、「原則として、試し出勤を認めていない」23.2%です。
    厚労省が作成した「復職の手引き」に試し出勤制度は盛り込まれていますが、実際の運用は
   企業に任せられているなかで活用されていません。


 * パンフレット『職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査』
    労働政策研究・研修機構 2012年
   『職場におけるメンタルヘルス対策調査』
   ≪活動報告≫ 13.7.23
    設問自体が事業者向けになってい、当然回答は事業所の担当者が記載したもの、つま
   り使用者側の管理部門からの回答の性格を持ちます。……
    ここ3年間で、どのくらいの割合の労働者が休職から復帰できているかと質問しています。
   「全員復職できた」が28.2%ともっとも高く、「ほんど全員復職できた」の13.0%を合
   わせると4割強の事業所で大多数が復職きていることになっます。一方、「全員復職しなかっ
   た」も16.6%と少なくありません。「7~8割程度」9.8%、「半分程度」9.7%、「2
   ~3割程度」4.6%、「1割程度」5.4%です。
    12.7%が無回答です。いい回答は隠しません。曲者です。
    会社規模別にみると、大きいところほど高復職率になっています。1000人規模以上で、
   「全員」「ほぼ全員」復職の合計が50.6%と過半数を占め、逆に「全員復職しなかった」
   のは6.0%と平均を大幅に下回っています。


    パ ン フ レ ッ ト ・ 資 料 等

 * 新聞記事 『増え続ける職場の精神疾患 復職へ周囲が配慮を
          異動先提示早めに』
    産経新聞 13.9.16
   『増え続ける職場の精神疾患 復職へ周囲が配慮を』
   「上司のさじ加減一つで、精神疾患の会社員らがうまく職場復職できるか、あるいは退職して
   しまうか変わってしまう。特に新型鬱病は休んでいるだけではだめで、軽く背中を押してあげ
   ることも必要です。復職後の3カ月だけでいいから、誰か支えてくれる人がいれば必ず自己回
   復はできるんです」


 * 研究報告 『メンタルヘルス不調における復帰支援』
    仙石 倫子 ほか19名
    広島大学保健管理センター研究論文集 第28巻 2012年
   『メンタルヘルス不調における復帰支援』


 * 『職場復帰をいかに支えるか』
    ――リワークプログラムを通じた復職支援の取り組み
    有馬 秀晃 (品川駅前メンタルクリニック院長)
    『日本労働研究雑誌』 2010年8月号 独立行政法人 労働政策研究・研修機構
   「『うつ病エピソードの振り返り作業』は……仕事上の挫折体験からうつ病エピソードに至っ
   た自らの体験をテーマに、同じ仲間と話し合い、自己洞察や内省を深める場である。このプロ
   グラムを通じて、発表者だけではなく聞く側に回った参加者も、自分の行動パターンに気づき
   適応的な行動パターンについて考えることによって、セルフケアの能力の向上や再発予防につ
   ながる効果がある。
    世の中には 『失敗したとき、挫折した時に読む本』 の類は数多くあるが、アドバイスを単
   に活字として読むレベルではなく、仲間との対話を通じて身をもって痛感することに意義があ
   ると強く感じられる。振り返り作業の最中に、発表者または聞き手が感極まり泣き出してしま
   うことも珍しくない。目から鱗が落ちる体験がいかに重要であるかを痛感する。
   『職場復帰をいかに支えるか』


 * 『立命館大学における復職支援プログラムの構築
    -メンタルヘルス不全を原因とする休職者のスムーズな職場復帰のために』
    立命館大学
   「(2) 一般企業の復職支援における問題点
    柏木は『「メンタルヘルス不全者の職場復帰」 が抱える諸問題』3)の中で復職支援の問
   題点を次のようにまとめている。
   ①職場復帰判定において客観的基準がない。
   ②ストレス障害は完全治癒ということは少なく「寛解状態」での復職が多いが、「寛解状態」
    への理解の乏しさ。
   ③診断書に記載される病名が判りにくい。
   ④「復職可。但し、軽作業が望ましい」との診断書の意味が不明確。
   ⑤「背伸び復職」がしばしばある。うつ病になりやすい人は気配りが過剰な性格を有すること
    が多く、少し良くなると職場同僚への配慮から早々に復職を希望する。
   ⑥復職後の配置転換は「原職復帰」が原則となるが、復職後の負担軽減を目的に事業場の配慮
    によって配置転換がなされることもある。この場合せっかくの事業場側の配慮が「降格人事」
    や「窓際人事」と誤解されることがある。
   ⑦「リハビリ出勤」の問題点。復職の客観的な判断基準がないメンタルヘルス不全の場合、正
    式復職前に職場で業務の一部を行って実際に復職可能かどうかを患者・上司・同僚が共に
    に検証し、慣らし出勤を重ねることは安定した復職を保障する確実で有用な方法である。し
    かし「休職のまま」であるため給与は支給されず、傷病手当だけの収入であることが多く、
    また業務中の事故にあっても労災認定されない。
   ⑧メンタルヘルス不全の場合、主治医と職場関係者が密な意思疎通をして病状理解と職場状況
    状況理解を相互にしておく必要があるにもかかわらず、充分な連携が取られていないことが
    多い。
   『立命館大学における復職支援プログラムの構築』


 * 『うつ病を中心としたメンタルヘルス不全による休職者の
    職場復帰支援の実際と課題に関する文献研究』
    独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター (2010年3月)
   『文献研究』


 * 新版 『職場のうつ』 AERA LIFE
    復職のための実践ガイド 本人・家族・会社の成功体験
    2009年9月
   ・本人編 「職場復帰プログラムとは?」
   ・病院編 「うつ病治療の基本」
        「回復&再発防止スキル」
   「“仕事=すべて”ですか?
    日本で初めて復職支援プログラムを立ち上げたNTT東日本関東病院精神神経科部長の秋山
   剛医師は、うつになる背景には、そもそも仕事や会社だけに偏った価値観がある、という。
    『働いて給料を稼いでいることが、自分の唯一の価値だと思い込み、家族や友人との有意義
   な人間関係がない人は、会社で職を失ったとき、自分を支えるものは何もなくなってしまう。
   仕事に誇りはあるが、趣味や家族にも価値を感じる。こうした複線的な生き方が、本当の意味
     健康的と言えるでしょう』
   で『積極的に遊ぶ能力は、仕事をする能力と根本的に同じものでしょう。遊ぶ能力を磨けば、
   健康的な生活を送れるだけでなく、仕事で新しい発想をする能力も伸びていくはずです』」
     「詳細実録 体験談」
   「入院した病院で、さまざまなこころの病を抱えた人たちに出会い、目を開かせた。……同質
   の中年男性は、惜しみなく世話を焼いてくれた。職場は人間関係に尊徳勘定があった気がする。
   でも病院では素の自分でいられた。『仕事をバリバリこなせない自分をずっと責めていたんで
   す。でも、あそこにいる人たちはみんな、ゆっくり自分らしく生きているんですよ」猛烈に働
   くだけが人生じゃない。そう思えるようになったとき、何かがストンと抜けて気が楽になった。
   昼夜逆転していた生活も、朝6時半起床、21時消灯という病院の規則正しい生活によって改
   善された。(35歳 男性 IT関連・開発 入社13年)
   ・支援編 「家族の接し方」
        「職場の対応」


 * 特集 『メンタルヘルス不調者の職場復帰』
   ・職場復帰のポイント
    鈴木安名  労働科学研究所メンタルヘルス研究センター・センター長
   「著者の産業医経験にもとづいたホンネで書けば、厚生労働省の『心の健康問題により休業し
   した労働者の職場復帰支援の手引きについて』のとおりに仕組みを作っても、職場復帰は簡単
   にはいきません。特に、①復職までの時間がかかる社員や、②復職と休業を繰り返すケースに
   には、かなり困難があります。
    なぜ職場復帰は難しいのか?
    ①医学的な回復と業務遂行能力の回復のズレ
     心の病気の場合、職場復帰が難しいのかというと『医学的な回復』と『職務遂行能力の回
     復』との間にズレがあるからです。心の病気、とくに『うつ』では、意欲だけでなく、集
     中力、判断力、注意力が低下します。……
      それなら、『完全に回復してから復帰すべきだ』と、お考えでしょうが、これは違いま
     す。仕事のための判断力にはカンや慣れも必要なので、働きながら(OJT)、負担を増
     やしていく必要があります。」
   ・職場復帰と法律問題
    峰 隆之  弁護士 
   ・産業医にとっての復職判定
    村上 稔  神奈川産業保健推進センター・相談員
   「一方、メンタルヘルス不調によって休職に至った場合は、その労働環境や人間関係が休職の
   主原因である場合も考えられます。そうした際は、休職した労働者本人の治療のみならず、事
   業者は労働環境なども含めて改善すべきです。ですから復職判定に当たって、まず休職に至る
   までの過程を多面的に把握しておく必要があります。」
   ・人事担当者中心のメンタルヘルス対策
    山岡 直人・池田 信吾  三和シャッター工業(株)人事総務部
   ・一職場復帰者の証言
    鈴木 一郎  一職場復帰者
   「私は、某都市銀行の営業担当者として、厳しいノルマを自分自身に課し成果をあげてきまし
   た。……
    そんな私が、うつ病に罹患しました。しかし罹患したことに気づかず、うつ病でありながら
   必死に仕事を続けてきた時期がありました。……
    いずれにせよ、精神科の先生が 『翌日から会社に復職していいよ』 と言うことは皆無です。
    それゆえ、復職までの1か月間は自分との戦でもあり、その成果が重要なものになるのだと
   私は思います。では『自分との戦い』とは何でしょうか。一番大切なのは生活リズムの安定
   す。朝、気象時間を安定させ、夜、就寝時間を決めたならその時間に就寝することです。加え
   るとしたらきちんと3食摂ることも重要でしょう。つまり自己管理を徹底させることだと思い
   ます。……
    ただ、まだ復職は実験段階なのです。いくら体調がよくなったから出勤できたからといって
   焦ったり、仕事をすることをあまり考えない方がいいです。……うつ病の鉄則の1つに“無理
   は禁物”というものがあります。
    『労働の科学』 2009年10月


 * 『長期休務者の社会復帰の仕組みに関する調査研究報告書』
    財団法人 企業活力研究所  委託先 NPO法人ニュースタート事務局
     2009年3月
    「本研究の特徴は以下の3点である。
    1.メンタルヘルス不調を、個々の社員や職場、一社単独でかいけつするには限界があると
     の認識から、『個人』『組織』『社会』の連携による解決を目指す。
    2.精神疾患と診断された社員に限らず、厳しい社会環境や職場環境の中で、元気を失って
     いる社員を広く対象とする。
    3.企業内コミュニケーションのあり方、予防に重点を置いた活性化策、不調の発見から復
     職支援に至るまでの『組織としての対応』を重視する。

     【企業内保健スタッフとしての感想】
    ・保健師の特性である『個人から組織を診る。組織から個人を診る』ことがいかに重要かを
     再認識している。
      社外とも連携した復職支援プログラムの可能性について
      (不調に悩む人が、職場以外の異なる価値観を体験できる場があったとしたら?)
    ・就業時間外に「こそっと」行けるところが有るとよいと思う。」


 * 特別企画『職場復帰 うつかなまけか』
    『こころの科学』136号 (2007年9月)
   ・職場復帰とうつ
     当世うつ病事情       大登敬之
     うつ病のタイプと職場復帰  牛島定信
      他
   ・職場復帰の実際
     都庁における職場復帰    吉野 聡
   「都庁におけるメンタルヘルス不全者の推移は……平成5年には職員1000人当たり3人で
   あった精神疾患による長期療養者(30日以上の病気休暇取得者)が、平成17年には職員1
   000人当たり11人と、この12年間でおよそ4倍に及んでいるのである。全国の地方自治
   体で同様の現象が生じていることが明らかとなっており、その対策が急がれている。
    調教都庁におけるメンタルヘルスの悪化は、公務員特有のストレス構造にも大きな影響を受
   けていると考えられる。私が東京都庁のメンタルヘルス対策に携わり、公務員特有のストレス
   構造を民間企業と比較した印象では、(1)異動の多い職場、(2)低い達成感、(3)管理
   職の労働安全衛生に対する関心の低さ、という点に特徴づけられると考えられた。」

     産業保健師からみた職場復帰 中庭慶子
      他
   ・職場復帰を超えて
     先進的職場復帰制度を考える 笹原信一朗
      他


 * 『こころの病からの職場復帰』
    『現代のエスプリ』 別冊 (2004年5月)
    編集 島 悟

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