* 新聞記事 『増え続ける職場の精神疾患 復職へ周囲が配慮を
異動先提示早めに』
産経新聞 13.9.16
『増え続ける職場の精神疾患 復職へ周囲が配慮を』
「上司のさじ加減一つで、精神疾患の会社員らがうまく職場復職できるか、あるいは退職して
しまうか変わってしまう。特に新型鬱病は休んでいるだけではだめで、軽く背中を押してあげ
ることも必要です。復職後の3カ月だけでいいから、誰か支えてくれる人がいれば必ず自己回
復はできるんです」
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* 研究報告 『メンタルヘルス不調における復帰支援』
仙石 倫子 ほか19名
広島大学保健管理センター研究論文集 第28巻 2012年
『メンタルヘルス不調における復帰支援』
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* 『職場復帰をいかに支えるか』
――リワークプログラムを通じた復職支援の取り組み
有馬 秀晃 (品川駅前メンタルクリニック院長)
『日本労働研究雑誌』 2010年8月号 独立行政法人 労働政策研究・研修機構
「『うつ病エピソードの振り返り作業』は……仕事上の挫折体験からうつ病エピソードに至っ
た自らの体験をテーマに、同じ仲間と話し合い、自己洞察や内省を深める場である。このプロ
グラムを通じて、発表者だけではなく聞く側に回った参加者も、自分の行動パターンに気づき
適応的な行動パターンについて考えることによって、セルフケアの能力の向上や再発予防につ
ながる効果がある。
世の中には 『失敗したとき、挫折した時に読む本』 の類は数多くあるが、アドバイスを単
に活字として読むレベルではなく、仲間との対話を通じて身をもって痛感することに意義があ
ると強く感じられる。振り返り作業の最中に、発表者または聞き手が感極まり泣き出してしま
うことも珍しくない。目から鱗が落ちる体験がいかに重要であるかを痛感する。
『職場復帰をいかに支えるか』
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* 『立命館大学における復職支援プログラムの構築
-メンタルヘルス不全を原因とする休職者の
スムーズな職場復帰のために』
立命館大学
「(2) 一般企業の復職支援における問題点
柏木は『「メンタルヘルス不全者の職場復帰」 が抱える諸問題』3)の中で復職支援の問
題点を次のようにまとめている。
①職場復帰判定において客観的基準がない。
②ストレス障害は完全治癒ということは少なく「寛解状態」での復職が多いが、「寛解状態」
への理解の乏しさ。
③診断書に記載される病名が判りにくい。
④「復職可。但し、軽作業が望ましい」との診断書の意味が不明確。
⑤「背伸び復職」がしばしばある。うつ病になりやすい人は気配りが過剰な性格を有すること
が多く、少し良くなると職場同僚への配慮から早々に復職を希望する。
⑥復職後の配置転換は「原職復帰」が原則となるが、復職後の負担軽減を目的に事業場の配慮
によって配置転換がなされることもある。この場合せっかくの事業場側の配慮が「降格人事」
や「窓際人事」と誤解されることがある。
⑦「リハビリ出勤」の問題点。復職の客観的な判断基準がないメンタルヘルス不全の場合、正
式復職前に職場で業務の一部を行って実際に復職可能かどうかを患者・上司・同僚が共に
に検証し、慣らし出勤を重ねることは安定した復職を保障する確実で有用な方法である。し
かし「休職のまま」であるため給与は支給されず、傷病手当だけの収入であることが多く、
また業務中の事故にあっても労災認定されない。
⑧メンタルヘルス不全の場合、主治医と職場関係者が密な意思疎通をして病状理解と職場状況
状況理解を相互にしておく必要があるにもかかわらず、充分な連携が取られていないことが
多い。
『立命館大学における復職支援プログラムの構築』
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* 『うつ病を中心としたメンタルヘルス不全による休職者の
職場復帰支援の実際と課題に関する文献研究』
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター (2010年3月)
『文献研究』
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* 新版 『職場のうつ』 AERA LIFE
復職のための実践ガイド 本人・家族・会社の成功体験
2009年9月
・本人編 「職場復帰プログラムとは?」
・病院編 「うつ病治療の基本」
「回復&再発防止スキル」
「“仕事=すべて”ですか?
日本で初めて復職支援プログラムを立ち上げたNTT東日本関東病院精神神経科部長の秋山
剛医師は、うつになる背景には、そもそも仕事や会社だけに偏った価値観がある、という。
『働いて給料を稼いでいることが、自分の唯一の価値だと思い込み、家族や友人との有意義
な人間関係がない人は、会社で職を失ったとき、自分を支えるものは何もなくなってしまう。
仕事に誇りはあるが、趣味や家族にも価値を感じる。こうした複線的な生き方が、本当の意味
健康的と言えるでしょう』
で『積極的に遊ぶ能力は、仕事をする能力と根本的に同じものでしょう。遊ぶ能力を磨けば、
健康的な生活を送れるだけでなく、仕事で新しい発想をする能力も伸びていくはずです』」
「詳細実録 体験談」
「入院した病院で、さまざまなこころの病を抱えた人たちに出会い、目を開かせた。……同質
の中年男性は、惜しみなく世話を焼いてくれた。職場は人間関係に尊徳勘定があった気がする。
でも病院では素の自分でいられた。『仕事をバリバリこなせない自分をずっと責めていたんで
す。でも、あそこにいる人たちはみんな、ゆっくり自分らしく生きているんですよ」猛烈に働
くだけが人生じゃない。そう思えるようになったとき、何かがストンと抜けて気が楽になった。
昼夜逆転していた生活も、朝6時半起床、21時消灯という病院の規則正しい生活によって改
善された。(35歳 男性 IT関連・開発 入社13年)
・支援編 「家族の接し方」
「職場の対応」
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* 特集 『メンタルヘルス不調者の職場復帰』
・職場復帰のポイント
鈴木安名 労働科学研究所メンタルヘルス研究センター・センター長
「著者の産業医経験にもとづいたホンネで書けば、厚生労働省の『心の健康問題により休業し
した労働者の職場復帰支援の手引きについて』のとおりに仕組みを作っても、職場復帰は簡単
にはいきません。特に、①復職までの時間がかかる社員や、②復職と休業を繰り返すケースに
には、かなり困難があります。
なぜ職場復帰は難しいのか?
①医学的な回復と業務遂行能力の回復のズレ
心の病気の場合、職場復帰が難しいのかというと『医学的な回復』と『職務遂行能力の回
復』との間にズレがあるからです。心の病気、とくに『うつ』では、意欲だけでなく、集
中力、判断力、注意力が低下します。……
それなら、『完全に回復してから復帰すべきだ』と、お考えでしょうが、これは違いま
す。仕事のための判断力にはカンや慣れも必要なので、働きながら(OJT)、負担を増
やしていく必要があります。」
・職場復帰と法律問題
峰 隆之 弁護士
・産業医にとっての復職判定
村上 稔 神奈川産業保健推進センター・相談員
「一方、メンタルヘルス不調によって休職に至った場合は、その労働環境や人間関係が休職の
主原因である場合も考えられます。そうした際は、休職した労働者本人の治療のみならず、事
業者は労働環境なども含めて改善すべきです。ですから復職判定に当たって、まず休職に至る
までの過程を多面的に把握しておく必要があります。」
・人事担当者中心のメンタルヘルス対策
山岡 直人・池田 信吾 三和シャッター工業(株)人事総務部
・一職場復帰者の証言
鈴木 一郎 一職場復帰者
「私は、某都市銀行の営業担当者として、厳しいノルマを自分自身に課し成果をあげてきまし
た。……
そんな私が、うつ病に罹患しました。しかし罹患したことに気づかず、うつ病でありながら
必死に仕事を続けてきた時期がありました。……
いずれにせよ、精神科の先生が 『翌日から会社に復職していいよ』 と言うことは皆無です。
それゆえ、復職までの1か月間は自分との戦でもあり、その成果が重要なものになるのだと
私は思います。では『自分との戦い』とは何でしょうか。一番大切なのは生活リズムの安定で
す。朝、気象時間を安定させ、夜、就寝時間を決めたならその時間に就寝することです。加え
るとしたらきちんと3食摂ることも重要でしょう。つまり自己管理を徹底させることだと思い
ます。……
ただ、まだ復職は実験段階なのです。いくら体調がよくなったから出勤できたからといって
焦ったり、仕事をすることをあまり考えない方がいいです。……うつ病の鉄則の1つに“無理
は禁物”というものがあります。
『労働の科学』 2009年10月
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* 『長期休務者の社会復帰の仕組みに関する調査研究報告書』
財団法人 企業活力研究所 委託先 NPO法人ニュースタート事務局
2009年3月
「本研究の特徴は以下の3点である。
1.メンタルヘルス不調を、個々の社員や職場、一社単独でかいけつするには限界があると
の認識から、『個人』『組織』『社会』の連携による解決を目指す。
2.精神疾患と診断された社員に限らず、厳しい社会環境や職場環境の中で、元気を失って
いる社員を広く対象とする。
3.企業内コミュニケーションのあり方、予防に重点を置いた活性化策、不調の発見から復
職支援に至るまでの『組織としての対応』を重視する。
【企業内保健スタッフとしての感想】
・保健師の特性である『個人から組織を診る。組織から個人を診る』ことがいかに重要かを
再認識している。
社外とも連携した復職支援プログラムの可能性について
(不調に悩む人が、職場以外の異なる価値観を体験できる場があったとしたら?)
・就業時間外に「こそっと」行けるところが有るとよいと思う。」
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* 特別企画『職場復帰 うつかなまけか』
『こころの科学』136号 (2007年9月)
・職場復帰とうつ
当世うつ病事情 大登敬之
うつ病のタイプと職場復帰 牛島定信
他
・職場復帰の実際
都庁における職場復帰 吉野 聡
「都庁におけるメンタルヘルス不全者の推移は……平成5年には職員1000人当たり3人で
あった精神疾患による長期療養者(30日以上の病気休暇取得者)が、平成17年には職員1
000人当たり11人と、この12年間でおよそ4倍に及んでいるのである。全国の地方自治
体で同様の現象が生じていることが明らかとなっており、その対策が急がれている。
調教都庁におけるメンタルヘルスの悪化は、公務員特有のストレス構造にも大きな影響を受
けていると考えられる。私が東京都庁のメンタルヘルス対策に携わり、公務員特有のストレス
構造を民間企業と比較した印象では、(1)異動の多い職場、(2)低い達成感、(3)管理
職の労働安全衛生に対する関心の低さ、という点に特徴づけられると考えられた。」
産業保健師からみた職場復帰 中庭慶子
他
・職場復帰を超えて
先進的職場復帰制度を考える 笹原信一朗
他
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* 『こころの病からの職場復帰』
『現代のエスプリ』 別冊 (2004年5月)
編集 島 悟
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