いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター(IMC)


















  労 働 災 害  長時間労働問題


         長時間労働は 自分への “いじめ” です



     「多くの日本人のうちには、ほとんど軍隊的ともいうべき従順さと服従の精神がある。それを
     見るたびに、わたしはおどろいてしまう。この順応主義はあきらかに日本人がうけた教育の成
     果である。すなわち、個性をのばそうとせず、青少年が自分自身の良心や判断力にしたがうの
     を許さない教育の力がそこにある」
     「『毎日遅くまで働いていれば、毎日へとへとになって家に帰ることになります。そのあとは、
     テレビのまえにすわって必要以上に酒をのみ、スポーツ新聞をながめるだけです。今なにがお
     こっているのか関心も持てなくなってしまいます。これが責任ある父親の姿だといえますか。
     それにまた、残業をするということは他の人から労働をうばい、どこかで失業をふやすことに
     なります。世界的にいえば、労働の量はかぎられています。すべての人には満足にいきわたり
     ません。いろんな国で日本人がどんなに批判されているか知っていますか』
      ……
      ある日、べつの工事現場に出向いたとき、吹きつけ屋の人たちと議論をした。かれらはわた
     しに『日本人は働きすぎるというのはほんとうですか』ときく。そこで『ほんとうですよ』と
     こたえた。そして、日本では年間の労働時間は2.100時間以上だが、ヨーロッパでは1.7
     50時間にすぎないと、公式統計の数字をあげてみせた。すると、かれらのひとりがいった。
     『それなら、オレたちはもう大丈夫だな。経済戦争に勝つぞ』
      わたしはこの反応にあぜんとして、あとはもう言葉もでなかった。」
         (アンドレ・レノレ著『出る杭はうたれる フランス人労働司祭の日本人論』)






 
 「就職人気企業の6割が過労死基準超え」



「日本経団連会長・副会長企業の36協定の概要」キャンペーン



    ■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□
  ◆◇労働時間(working time)◇◆

   労働時間を扱った最初の条約は、ILOが
  1919年の第1回総会で採択した初めての
  条約でもあります。労働時間(工業)条約と
  題するこの第1号条約は、工業における労働
  時間を1日8時間、1週48時間に制限しま
  す。
  ◇労働時間(working time)◇


  ◇長時間労働防止に向けて◇
 ◆勤務間インターバル規制を活用しよう◆

   勤務間インターバル規制とは

   「勤務間インターバル規制」は、時間外労
  働などを含む1日の最終的な勤務終了時刻か
  ら次の勤務開始までに一定時間以上の休息を
  義務づけ、短期間内に心身の疲れをリセット
  できるようにする制度です。
   この間の「高度プロフェッショナル制度」
  の導入をめぐる労政審において、労働者側は
  導入を強く要求しましたが、建議は「導入に
  ついては、結論を得るに至らなかった」とな
  りました。過労死等防止対策推進協議会にお
  いては家族会が大綱に盛り込むことを要求し
  ましたが実現しませんでした。


   EUでは最低連続11時間の休息

   欧州連合(EU)では、1993年に労働
  者の健康と安全の保護(EC条約第137号)
  の観点から、「労働時間指令」を制定しまし
  た。(2000年改正)そこでは24時間に
  つき最低連続11時間の休息を付与する、7
  日ごとに最低連続24時間の休息日を付与す
  るなどが規定されています。これに基づいて
  加盟国が法制化しています。
   具体的には、前夜の勤務終了が遅くなって
  も終業時刻から最低11時間の休息が補償さ
  れ、翌日の始業時刻に間に合わなくともその
  時間は勤務したとてみなされます。


    情報労連で先駆的取り組み

   情報労連は09年、労働安全衛生面から労
  働時間規制も講じる必要があると判断し、春
  闘で「労働者の健康確保とワーク・ライフ・
  バランスの実現」に向けた取り組みの一環と
  して「可能な組合においてはインターバル規
  制について労使間論議を行なう」方針を掲げ
  ました。その結果、9単組が導入を妥結に至
  りました。
   「2009春季生活闘争の中間総括」で
  「勤務間インターバル規制は、1日における
  労働時間の絶対的な上限に関する要求であり、
  働く人の健康を保持する根源的な意味での労
  働安全衛生を確保するための要求でもある。
  ……この勤務間インターバル規制の導入を実
  現したことは、今後の労働時間に対する論議
  に対し一石を投じたともいえ、当該労使の先
  進的な取り組みに敬意を表したい」と書いて
  います。
   その結果、職場からは「深夜時間帯の回線
  切り替え等作業が、連続勤務からローテーシ
  ョン勤務に変更された」「企業側が交代要員
  の確保や複数業務をこなせる多能工化を進め
  るようになった」「始業時間に間に合わなく
  ても勤務したものとみなされるので、休息時
  間が確保しやすくなった」「インターバル規
  制が浸透し、休息時間が翌日の勤務に食い込
  んでも気兼ねなく出勤できるようになった」
  などの評価が出ています。

  『「勤務間インターバル制度」の導入に
   向けて』

  「情報労連が勤務間インターバル規制の
   ガイドラインを策定」

  ≪活動報告 16.8.26≫
  ≪活動報告 14.4.18≫


     労働者保護を

   1998年改正された労基法で女性の深夜
  労有働が解禁されました。しかしその影響は
  職場から労働時間における労働者保護の概念
  が失われてしまいました。
   今、国会に上程されている「高度プロフェ
  ッショナル制度」法案はさらに賃金における
  労働者保護の概念を奪おうとしています。そ
  の結果、長時間労働がはびこる結果をもたら
  すことは明らかです。今こそ、本来の労基法
  36条の保護規定を取り戻すための取り組み
  が必要です。
   長時間労働は生活を破壊し、過労死を促進
  します。
   労基法改正案は絶対に認められません。

   ゆとりを取り戻そう


      - 通 達 ・ 報 告 書 ・ リ ー フ レ ッ ト -

 ・リーフレット 『過重労働による健康障害を防ぐために』 
     厚生労働省 
     リーフレット


 ・リーフレット 「労働者の健康を守るために
     過重労働による健康障害防止対策」
     厚生労働省
     リーフレット


 ・リーフレット 「長時間労働者の健康ガイド」
     働き過ぎて、疲れていませんか?
     独立行政法人労働安全衛生総合研究所
     リーフレット


 ・「平成25年度労働時間等総合実態調査結果」
     厚生労働省労働基準局 2013年10月
    「平成25年度労働時間等総合実態調査結果」
    「平成25年度労働時間等総合実態調査(主な結果)」
    ≪活動報告 13.12.3≫
    11,575事業場を対象に、労働基準監督官が訪問して4月1日時点の状況を使用者から
   調査しました。
    データは、たとえば時間外労働の調査では、パート労働者など短時間労働者も平均労働時間
   を算出する母数に加算されます。正規労働者の長時間労働の実態が隠されてしまいます。
    それでも一般労働者全体の平均年間時間外労働は343.56時間。事業規模が大きいほど
   増え、301人規模以上の事業場では352.10時間です。
    過労死の元凶・無制限残業を容認する 「特定条項付き時間外労働に関する労使協定」 につ
   いては、「協定」の1か月の特別延長時間の平均は77.52時間、1年間では650.54時
   間です。全体平均では80時間超100時間以下0.1%、100時間超0.1%存在していま
   す。実態は、特別の事情や臨時的なものなどではなく恒常的に「活用」、さらにそれ以上の労
   働を強いられて過労死を発生させる原因になっています。
    日本には労働時間を規制する法律がないというのが実態です。
    長時間労働を容認する 「協定」 を締結している労働組合は過労死の共犯者です。
    過労死は政・労・使で発生させています。


 ・「労働時間等見直しガイドライン」(労働時間等設定改善指針)
    平成20年 厚生労働省告示第108号
    「労働時間等見直しガイドライン」


 ・「過重労働による健康障害を防止するための総合対策について」
    (一部改正、平成20年3月17日 基発第0307006号)
    「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」
  「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(本文)の一部
    改正について 新旧対照表
    「新旧対照表」
  「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」
    平成18年3月17日 基発第0317008号
    「過重労働による健康障害防止のための総合対策」
    ≪活動報告≫ 11.4.20


 ・「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の施行について」
    平成18年4月1日 基発第0401006号
    「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の施行について」


 ・「今後の労働時間制度に関する研究会」報告書
    今後の労働時間制度に関する研究会
    厚生労働省労働基準局監督課 平成18年1月27日発表
    「報告書」


 ・「労働基準法第36条1項の協定で定める労働時間の延長の限度等
    に関する基準の一部を改正する告示の適用について」
    基発第1022003号 平成15年10月22日
    「労基法の一部改正」
    ≪活動報告≫ 11.7.20
  リーフレット 「特別条項付協定」
    「特別条項付協定」


  - 報 告 書 ・ 論 文 ・ 資 料 等 -

 ・『残業した時間「ためて休む」 ドイツ先進職場の働き方
    労働生産性は日本の1.5倍』
    『日本経済新聞 電子版』15.12.7
    『残業した時間「ためて休む」』
   「『残業で働いた時間は口座に貯蓄しておき、後で休暇として使います』。ドイツ南部のシュ
   ツットガルト中心部から車で北西に15分ほどにある独ボッシュのフォイヤバッハ工場。自動
   車部品などの顧客営業部門でプロジェクト・マネジャーとして働くダビット・バイヤーさん
   (38)は自らの働き方をこう説明する。
    口座とは「労働時間貯蓄口座(ワーキング・タイム・アカウント)」を指す。残業や休日出
   勤など所定外の労働時間を従業員が社内口座に積み立て、後で有給休暇などに振り替えられる
   仕組み。」


 ・『韓国で続発する過労死・自殺 自爆営業、無謀なノルマ…
       「昭和の日本」と酷似』
    『産経新聞』 2012年6月22日
    『産経新聞』
   「韓国で社会問題にならないのはなぜか。
    まず、姜さんが挙げたのは、労働者や労働組合が労働時間短縮を優先してこなかった点だ。
    2件目の事例にあったように、韓国企業は基本給が低く抑えられる傾向にある上、経済成長
   に伴う物価上昇に比べ、賃金が上がってこなかった。老後への不安の裏返しで「現役時代に稼
   がねばならない」と考える労働者も多いという。
    さらに、姜さんは長時間労働で成果を出すことを「美徳」とする雰囲気が、社会全体に定着
   していることも指摘した。」
    ≪活動報告≫ 13.8.30


 ・「就職人気企業の6割が過労死基準超え 225社の36協定で判明
    トップは大日本印刷の時間外1920時間」
    My News Japan  11.3.6
    「就職人気企業の6割が過労死基準超え」
   「1年間で見た場合の時間外労働時間ワースト1は、大日本印刷(1920時間)、2位が任
   天堂(1600時間)、3位がソニーとニコン(1500時間)だった。労使一体となって社
   員を死ぬまで働かせる仕組みが、大半の企業でまかりとおっていることが改めてはっきりした。」


 ・パンフレット 「第11回 日韓ワークショップ報告書
          長時間労働と労働時間の短縮施策:日韓比較
    独立行政法人 労働政策研究・研修機構 2011年9月
    長時間労働と労働時間の短縮施策:日韓比較
   「『韓国の長時間労働体制の事例 - 銀行業と自動車部品産業』
      韓国労働研究院 国際協力室長  ぺ・キュシク

    一部の産業や職種においては、著しい長時間労働が行われている。週48時間以上働く労働
   者の比率をヨーロッパ諸国と比較すると、韓国は31%と、他の国に比べはるかに高く、長時
   間労働体制は、質的な面では大きな変化は見せていないといえる。他の産業や職種においても、
   労働時間の長短はあるが重要な特徴は共通していることから、同様であるといえる。このよう
   な長時間労働体制は従来の生産体制と労使の合意により繰り返し維持され、慢性的な超過労働
   の均衡状態(equilibrium)という罠に陥り、変化する環境や社会・労働者からのニーズを反
   映できていない。超過勤務と労働時間延長の柔軟性だけが歪んで発展した労働時間体制は、男
   性稼ぎ主と家族モデル、中位程度の学歴と熟練度、相対的な低賃金に基づく要素投入中心・製
   造業中心の経済成長モデルには適したものであった。しかし、新しい競争環境、労働市場と人
   口構造、雇用と家族モデルの変化の中では、その持続可能性が徐々に失われつつある。」


 ・「我が国の労働時間の現状と今後の課題について」
    厚生労働省労働基準局労働条件政策課長 田中誠二
    「我が国の労働時間の現状と今後の課題について」
    2011年3月2日 JILP主催シンポジウム
    「ホワイトカラーの労働時間を考える ―効率的な働き方を求めて― 」より


 ・「労働時間の二重構造と二極分化」
    森岡 孝二  関西大学経済学部教授
    『大原社会問題研究所雑誌』 No.627 2011.1
    「労働時間の二重構造と二極分化」
   「この問題は賃金および労働時間の基幹統計である『毎月勤労統計調査』の二つの不備とも無
   関係ではない。第一に,同調査は,事業所の賃金台帳に記載された賃金の支払われた労働時間
   を集計していて,男性の正社員に多い長時間の賃金不払残業(サービス残業)を把握していな
   い。第二に,同調査の月次データは,調査の目的である賃金,労働時間および雇用の変動の把
   握に関して不可欠な数字の性別による集計を欠いている。
    ……
    しかし,15歳から34歳までの若年者については,2006年『国民生活白書』から借用
   した図6に見るように,92年から02年の間にも,男女とも,長時間労働をする正社員の割
   合が高まり,週60時間以上と週42時間以下への労働時間の二極分化が進行してきた。
    近年では,性別や雇用・就労形態の違いを問わず,長時間労働者の割合と短時間労働者の割
   合がともに高まり,労働時間の二極分化が新たなかたちで進行している。」


 ・新聞記事(産経)「2千人が残業80時間超 霞が関の公務員調査」
    新聞記事


 ・「長時間労働者に対する医師による面接指導等の実施状況調査」
    報告書
    平成22年8月 独立行政法人労働安全衛生総合研究所 佐々木毅,久保智英,岩崎健二
    「報告書」



    週60時間以上とは、時間外労働が1か月80時間以上ということです。
    しかし長時間労働についてこれ以上詳細なデータは厚生労働省からも出てきません。隠され
   ています。

 ・「新成長戦略 ~ 『元気な日本』 復活のシナリオ~ について」
    平成22年6月18日 閣議決定
    「新成長戦略」
    この中の「(6)雇用・人材戦略」~『出番』と『居場所』のある国・日本~」の【202
   0年までの目標】に『週労働時間60時間以上の雇用者の割合5割減』と記載されています。
   なんとあと9年後の2020 年にも「週労働時間60時間」つまり月間残業時間80時間以
   上の労働者が250万人存在することが前提の目標なのです。

    ≪活動報告≫ 11.2.8


 ・特集 労働時間をめぐる先進諸国の動向
     ー時短、弾力化、WLB、ワークシェアの視点からー
    (『Business Labor Ttend』 09.3)
    労働時間をめぐる先進諸国の動向
   「『アメリカの労働時間  労働時間の延長を望む者、短縮を望む者
      ルーズベルト大学教授 サミュエル・ローゼンバーグ
    連邦は最小限の規制
    アメリカ連邦政府は、一六歳以上の労働時間に関して必要最小限の規制をしている。労働時
   間規制に関する主な連邦法は、公正労働基準法(FLSA)である。一九四〇年の改正より、
   雇用者、特に民間非管理職労働者については、週労働時間が四〇時間を超えた場合、超過労働
   時間に対して最低でも正規時給の一・五倍の手当を支払うことが規定されている。しかし、多
   くの雇用者は、FLSA規定の適用除外となっている。専門職、管理職、役員、一定の所得を
   超えた者、小規模小売業やサービス業で働く者などである。
    州法は、FLSAを補っている。連邦法と州法の両方が適用される状況では、労働者に有利
   な法が優先される。
    政府内では、労働時間政策が雇用状況に与える影響は少ないとする考えが主流であり、この
   一〇数年間、最小限の討議しかされていない。政府の労働時間規制は最小限であり、労働時間
   は主に労使関係において決定されている。労組がない職場では、主に事業主の采配で労働条件
   が決定される。労組がある職場では、労働時間と賃金は、労働協約で決められる。しかし労組
   の組織率は、五〇年代半ばから低下しており、労働時間に関する協約は、労働者よりも使用者
   の都合を反映していることが多い。


 ・特集 働き方の改革 『元年』
      ー長時間労働とメンタルヘルス不調の実情ー
    (『Business Labor Ttend』 08.8)
    長時間労働とメンタルヘルス不調の実情


 ・特集 長時間労働
    『日本労働研修雑誌』 08.6  発行:労働政策研修 研究機構
    特集:長時間労働
 ・日本の長時間労働 ― 国際比較と研究課題
    小倉 一哉  労働政策研究・研修機構主任研究員
   「3 心身の健康への影響
    長時間労働と健康などの関係を考察した代表的な研究に, 山崎 (1992) がある。山崎は, 長
   時間労働を疲労・ストレスの直接の原因と見るのではなく, 「職務上の要請・圧力」が増大する
   ことによって,「一方では, 不適応症状としての疲労・ストレスを増大させ, 他方では『過剰反
   応』『働き過ぎ』とその兆候を拡大している」と説く。また,『職務要請・圧力を規定要因と考
   えることによって,例えば, 労働時間規制が他でもなく労働者自身によって破られてしまう理
   由がみえてくる』とも説いている。その上で, 実際に疲労・ストレスの蓄積や慢性化が急激に
   生じやすくなる労働時間として,『月間残業時間50 時間前後』『帰宅時刻では午後9時ない
   し10時以降』と結論づけている。」
 ・『仕事管理と労働時間 長労働時間の発生メカニズム』
    佐藤 厚  法政大学教授
   「3 職場のマネジメントと労働時間
    さきにみた長労働時間傾向の分析結果は, 改めて図1 で示した「事業計画→長時間」の間に挟
   まる職場レベルでのマネジメントという変数を繰り入れて考察する必要性を示唆している。
    ……
    第1に, 業務量をこなす要員と労働時間が決まったとしても, 管理者が仕事をどう管理する
   か,その業務遂行方法が非効率であったり, そもそも労働時間の把握が十分でないと労働時間
   は長くなる。
    第2に, 管理者の行動様式や意識も部下の労働時間に影響を及ぼす。「終業後も長時間在社
   する」「残業時間の長さを部下評価に考慮する」といった行動がみられると労働時間は短くな
   らない。
    第3 に, 社員の行動様式や意識も労働時間の長さに影響を及ぼす。責任感や協調性がありし
   かも人事評価の高い部下が最長残業者のタイプに多く含まれる点についてはすでに指摘したが,
    これに加えて「出世志向が強い」「上司が退社するまで帰宅しない」「残業代を生活費に組
   み込む」といった社員の仕事意識があれば, やはり労働時間は短くならない。」
   ・長時間労働と健康問題 ― 研究の到達点と今後の課題
    岩崎 健二  労働安全衛生総合研究所有害性評価研究グループ部長
    「長時間労働が健康におよぼす影響」


 ・「過重労働とメンタルヘルス」
    ―特に長時間労働とメンタルヘルス―
     島 悟
    「産業医学レビュー」 2008年2月
    抄録:医師による長時間労働者への面接を含む過重労働対策は2008年度より全事業所に
   義務付けられた。過労死や過労自殺などに事後対応でなく、事前に対処できるべく産業保健活
   動に導入された。過重労働による心身の不調でのメンタルヘルス不調が重要であると述べた。
   欝病から精神障害に至り自殺企図に及ぶからである。過重労働の有無と負荷の判断について述
   述べた。国における産業保健領域のメンタルヘルス活動として2006年に「メンタルヘルス
   指針」が出され,その展開について述べた。年間総実労働時間が2000時間を切り1800
   時間まで減少しているが、パートタイマーの比率が諸外国より高く、働きすぎの状況は改善さ
   れていないと述べた。サービス残業も依然多いとされている。長時間労働が続くと睡眠時間が
   減る傾向である。長時間労働と心身疾患・精神障害の関係を述べた。長過労時間と疲労感・抑
   鬱との関係と,メンタルヘルスの変化の関係を一般健康調査票(GHQ) のグラフで示した。
   筆者らが実施した調査では、時間労働が50時間を越えるあたりからGHQが高くなり、90
   時間を越えるとGHQは最高となった。長時間労働以外の過重労働とメンタルヘルスの関係に
   ついて述べた。ここでは質的業務負荷についてDSCモデル (仕事要求度・裁量度・職場支援度)
   とERIモデル(努力・報酬不均衡)を取上げ検討した。睡眠時間とメンタルヘルス不調には
   密接な関係があり、睡眠時間の減少はメンタルヘルス不調者発生頻度を高めると述べた。
    「過重労働とメンタルヘルス」


 ・労働時間の現状と課題
   ~ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて~
    第二特別調査室 五十嵐 吉郎
    (『立法と調査』 2007.1  No.263)
    労働時間の現状と課題


 ・特集 過重労働と健康情報の管理
 ・過労死・過労自殺救済の労災補償法理
   ―過労死・過労自殺労災認定の現状と今後の課題―
    弁護士 岡本 親宜
    添付: 「過労性脳・心臓疾患労災認定基準改正試案 (岡本試案)
 ・変容する職場集団と日本的心性のなかでの過重労働
    三重短期大学・大阪経済法科大学講師 大野 和正
   「このように、一方の側に長時間労働が存在し、他方に短時間労働者がいるといった単純な
   併存関係ではなく、前者が校舎の負担と責任を一身に引き受けている構造が見られる。これ
   は職場レベルでも社会全体でもいえることで、フリーターやニートの問題は、その対極にあ
   る長時間労働について考えなければ解決しないのである。さらに過労死や過労自殺はこの長
   時間労働が孤立と絶望の状況に追い込まれたときにて出てくる現象であり、そこでの周囲と
   の仕事分担や協調関係のいびつさを深刻に見つめる必要がある。」
   (『季刊労働法209号 (2005年夏季))


 ・対談 長時間労働がメンタルヘルスに与える影響
    (財)社会経済生産性本部メンタルヘルス研究所研究主幹 今井保次
    (株)日立製作所日立健康管理センタ副センタ長 林 剛司
    『Business Labor Trend』 2004.6
    長時間労働がメンタルヘルスに与える影響
   「今井 普通、景気がよければ精神状態もよくなると単純に考えがちだが決してそんなこと
   はない。男女別で多少の違いはあるが、抑うつや不安、自己不確実、疲労、疾病頻度などバ
   ブル期でグンと上がったものが、そのままの水準で推移している。これはバブル期と今の状
   況が、先が見えずに混乱しているという点で同じであると推測できる。経営側が方針をはっ
   きり示せない混迷の中で、「さあ、成果主義だ。幾らもうけろよ」というようなことを言う
   から、労働者は何をどうすればいいのかわからず右往左往している。こうした混乱状況が、
   体調不良とか不安傾向や抑うつ傾向を下げずにいる大きな要因であり、メンタルヘルス上、
   確実に悪影響を与えている。」


  = 本 =

 ★ 『働き過ぎの時代』
    森岡 孝二著
    岩波新書 (2005年)


 ★ 『窒息するオフィス 仕事に圧迫されるアメリカ人』
      ジル・A・フレイザー著
    (岩波書店 2003年)
    『窒息するオフィス』
   「かつては、この国の巨大企業はホワイトカラーから、夢見る価値のある仕事の場と思われて
   いた。経済的安心、快適な労働条件、バランスのとれた職業生活家庭生活の見透し、その他さ
   まざまな経済的恩恵を提供していたのである。第二次世界大戦後の前半の2、30年は、成功
   した企業とその従業員は、経済的繁栄の成果を共有し、今と比べて、家族主義的な慣行が職場
   関係を支配し、そうした慣行が企業と従業員の間の長期的な絆を作り出すことに役立っていた。
    こうした戦後初期の雇用戦略は、1970年代にアメリカ経済の世界的優位性を脅かすさま
   ざまな経済的問題が起きたあと、評判の悪いものとなった。企業に迎合的な政府政策と金融業
   界による強引な介入のために、1980年代は、職場の荒廃をともなう企業改革(リインベン
   ション)という混乱の時代の先触れとなった。ここにいたるまでにビジネス界のルールと報酬
   は変化した。仕事の要求度とストレスの量は上昇する一方であったが、繁栄の報酬を分かち合
   える方法は、給料と諸手当ではなく、株式市場を通ずる道でしかなかった。」

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