いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター(IMC)



















   こ こ ろ の ケ ア  グ リ ー フ ケ ア

        「ときえの微笑み」

     あの時以来、ひたっと乳がでなくなって
     ときえはいつも泣いていた。
     消防団の一人として出て行ったきり帰ってこない夫、
     ときえの父ちゃん。
     『ときえと一緒に父ちゃんどこさ行ぐがわ (行こうか)』
     何度言ったことか。

     いつだったか忘れてしまったけど、
     ひいひい泣くときえをだっこして
     『泣ぐなったら泣ぐな、おらも泣きだくなるっちゃ
                    (なってくるじゃないか)』
     ゆすりながら語った時、
     ときえは泣きやんで、
     目にいっぱい涙をためて私の目をみた。
     そして にこっと微笑んだ。
     ときえの頬に私の頬を合わせてしっかりと抱きしめた。
     その時、私の胸の奥から突き上げてくるものを感じた。
      ─乳首から乳がふき出してきた─
     何日かぶりで
     ときえは喉を鳴らして乳を飲む。
     『ときえと一緒に生きて行ぐべな (行こうな)』

      -私は生きる力をときえの微笑みからもらった-

        (「岩沼民話の会・語りっこいわぬま」 の大震災の聴き記し
          『おとしふみ 第三集』 (2012年5月20日)から。

   



        “グリーフケア”とは

  「特に、大震災後に必要な『心のケア』は、災害による多重的な
  喪失体験をした後に残る、複雑な悲嘆をケアすることである。そ
  れは具体的には『悲嘆ケア』すなわち『グリーフケア』のことで
  ある。この度の大震災では、想像さえできないほどの重複する悲
  嘆体験をした人びとが多くあった。家族1人を亡くすだけで、深
  く強い悲嘆状態に陥るのが通常生活の中での悲嘆であるが、災害
  後の悲嘆は、本人にとって大切と思うものすべてを一瞬にして喪
  失し、明日を生きる希望さえ失わせてしまうほど恐ろしい喪失体
  験に基づいている。
   このような人々に寄り添うケア提供者は、限りない思いやりと、
  相手に対する尊敬と信念を持っている必要がある。」
            
       (『大震災後の悲嘆ケア(グリーフケア)』
         上智大学グリーフケア研究所 発行より)



   「翌日の勤務では、私自身が初めて1人の行方不明者の方を
   発見することができましたが、残念ながらこの方もご遺体で
   の発見でした。海に近い小さな川辺に浮いている状態で右手
   に携帯電話を握ったまま亡くなっていました。
    この時私はその姿を見て言葉にならない衝撃を受けました。
    それは右手の携帯電話がその全てを物語っていたからです。
   『苦しかっただろう』『怖かっただろう』色々な感情が私の
   体の中を駆けめぐりました。
    もし、立場が逆であったら、私は、発見者に何をして欲し
   かっただろうか。私にしかできないことがあるはずだ。そう
   考えたとき、私が1人の人間である前に、警察官であること
   の自覚がよみがえりました。『そうだ』この人を家族の元に
   返してあげることが私の使命ではないか。
    そう気持ちが整ったときに、安らぎとともに少しだけでも
   お役に立てたことに警察官としての喜びに打ち震え実感した
   のでした。」
       (警視庁から福島県に派遣された警察官の手記)
       (東日本大震災を撮った福島県警の写真展 から)

      ≪活動報告≫ 12.12.7



Greaf is Love

自死遺族による自死遺族のためのネットワーク
=全国自死遺族連絡会=

全国自死遺族連絡会は
自死遺族の相互交流を深めることにより
遺族自身が
まず元気に生きていくことを
目的とする会です
 そして、自死した私たちの
大切な人のその命を
無駄にすることなく
優しい人が 優しいままで
 生きられる世の中に
 変えていくことを目指します

全国自死遺族連絡会

   

   




 ■ 『大事故遺族の悲哀の研究 喪の途上にて』
    野田正彰著  岩波書店
   「『心が傷つく』とは、どういうことだろうか。柔らかい人の心は、耐えがたい体験によっ
   て三つの問題を抱える、ひとつは言葉どおり、心をある実態としてイメージして、ショック
   や繰り返される不快な体験によって『精神的外傷』を被るのである。だが、心は精神的外傷
   がふさがれた後、身体のようにちょっとした瘢痕を残して、元どおり機能していくわけには
   いかない。必ず精神的外傷をきっかけに、以前とは違った態勢に入っていく。
    まず人は精神的外傷の後、その傷を過剰に包み隠そうとする。あるいは、崩れた精神的バ
   ランスを取り戻そうとして、過剰に身構えてしまう。心に加えられた外からの力(精神的暴
   力)と丁度同等の力で反発し、不幸な体験を静かに押し戻すことは非常に難しい。右手に重
   い鞄を持って歩く人の右肩は、左肩より上ることはあっても下ることはない。同じく心は、
   精神的外傷からあまりにも多くのことを学びすぎ、緊張し、身構えてしまう。自分の心の傷
   を周囲の人に気付かれないように、他人に同情ないし後ろ指を指されないように、隙を見せ
   ないように努め、さらには不幸を越えて、より強靭に生きていこうとする。それは挫折か、
   再生かを賭けた戦いであるが故に、多くの人は再び立ち直りつつ、精神的外傷を過剰に代償
   してしまう。克服した困難な体験、悲しい体験は、その人に自信を与えると共に、その人な
   りの精神的防衛の仕方を固定し、絶対化させることになる。心の強さは常にかたくなさの影
   が伴い、それは弱さでもある。
   ≪活動報告≫ 16.4.22


 ■ 『憎むのでもなく、許すのでもなく』
    ボリス・シリュルニク著  吉田書店 2014.3刊
   ナチスから逃れた6歳の少年は、トラウマをはねのけて長い戦後を生き延びた。凍った言葉
   が溶け出す―― (帯 から)

   「私に許しを求めた者は、誰もいなかった。例外は、自分たの祖父母が犯した罪について、
   いまだに罪悪感を覚えるドイツの若者たちである。
    ……
    ナチズムや人種差別に加担した人々は、現実から切り離された表象に服従した。彼らは、
   自分たちが考えたイメージを他者に押し付け、それに対して怒ったのだ。たとえば、社会の
   寄生虫のような輩、黒人、ユダヤ人、アラブ人、オーベルニュ地方の人、ジャズ好きには死
   を、と叫んだのだ。そして彼らは、そうした不況理な表象に従うために行動した。彼らは服
   従することによって団結し、団結することによって自分たちは強者だという感覚に浸った。
   すなわち、「われわれが服従するおかげで、われわれの崇拝するリーダーは強いのだ」と考
   えたのだ。
    私にとっての選択肢は、罰するか、許すかではなく、ほんの少し自由になるために理解す
   るか、隷属に幸福を見出すために服従するかである。憎むのは、加古の囚人であり続けるこ
   とだ。憎しみから抜け出すためには、許すよりも理解する方がよいではないか。
   ≪活動報告≫ 15.5.8


 ■ 『震災後のグリーフケア』
    早稲田大学教育・総合科学学術院教授 本田恵子
    『ShinSho』 No.79 早稲田大学学生部
   「震災でつらいのは、『大切な人や家が同じ場所にはない』という事実とともに、それらに
   つながる思いが止まってしまうこと。心がバランスを崩したときに何が起こるのかを理解し、
   支援の方法を考えよう。」
   『震災後のグリーフケア』


 ■ 「東日本大震災と殉職」
    兵庫県こころのケアセンター副センター長 加藤 寛
    公益財団法人 ひょうご震災記念21世紀研究機構  HATコラム
   「東日本大震災が阪神・淡路大震災と大きく異なる点の一つは、殉職者の多さである。発生
   時刻が平日の昼間の時間帯であり、地震から津波襲来までの時間に、防災マニュアルどおり
   に防潮堤や水門を閉めたり、住民の避難誘導や情報収集などにあたったりした多くの人たち
   が亡くなった。消防隊員・消防団員262名、警察官25名、自衛官2名のほかにも、役場
   の職員、教職員、医療機関や介護施設の職員などを含めると、数百人の尊い命が奪われた。」
   『東日本大震災と殉職』


 ■ 『災害 支援者ガイド ~体と心のケア』
    災害 支援者ガイド 12.7.16
   「心理的ダメージの構造
    ○「被害」や「心の傷」と一口に言っても、実際にはいろいろな要素を含んでおり、症状
     や対処法が少し違ってきます。心の健康におよぼす影響は、複数の視点で検討する必要
    があります。
     ①喪失(大切な人や家を失う)と関係性
     ②トラウマ(恐怖体験)
     ③現実のストレス(環境の変化)
     ④元々の課題(発生前からの課題など)
     『災害 支援者ガイド』


 ■ 『災害遺族への悲嘆ケアとは?』
    朝日新聞 12.2.24
    『災害遺族への悲嘆ケアとは?』


 ■ 『Compassion コンパッション』
    2011.12 Vol.6
     コンパッションとはその語源から「苦しみと共に」という意味です。
     最愛の人を亡くして苦しむ人と共にあること、それはGCCのミッションと考えます。
    目次
     東日本大震災特別寄稿
      震災後のメンタルヘルスケア
      智田文徳医師からのメッセージ
      「いわてから」 その他
    『Compassion コンパッション災害遺族への悲嘆ケアとは?』


 ■ 21世紀文明研究セミナー2011
     人と防災未来センター(2011.12.21 )
   『災害における喪失と悲嘆へのグリーフケア』
    神戸赤十字病院心療内科 村上典子
    災害における グリーフケアのポイント
    1.悲嘆の反応は個人差がある
     *家族の中でも違いがある。
     *こうあるべきという正しい反応はない。
    2.遺族の 「語り」 の尊重
     *まず 「共感をもって傾聴する」 ことが第一歩
     *遺族が自身の語りを通じて、「心におちる」所、いわば「ある種の納得を得る」こと
      が大事。
    3.「抑圧された悲嘆」 に注意する
     *人はあまりに大きな心の傷を受けた場合、自身の心を守るために心にふたをすること
      がある。
     *遺族が悲嘆をおしこめたり、回避している時は、無理に感情表出を促そうとしない。
    4.「治す」 というより 「寄り添う」 こと
     *黙ってそばにいるだけで十分な場合もある。
    5.遺族のニーズに合わせる
     *時には経済的支援や生活援助など、現実的・社会的サポートが精神的ケアより必要な
      時がある。
     *ひとりよがりや自己満足に陥らないように。
    6.ケアする側 (ケアギバー) の限界を知る
     *遺族からネガティブな感情を向けられるリスクに心の準備が必要。
     *ケアギバーの2次的受傷にも注意。
     *必要な場合は専門家へつなげる
    『災害における喪失と悲嘆へのグリーフケア』


 ■ パンフレット 『大震災後の悲嘆ケア(グリーフケア) 』
    被災者の心の状態と、そのケアの留意事項
    上智大学グリーフケア研究所 発行  2011年5月
   「『あわれみ』は有害な場合も多い
    『かわいそうに』といったあわれみの態度や話し方で接しないようにしましょう。それは
   相手の自尊心を傷つけることになります。また憐れみは、相手が不可避な現実としっかり向
   き合っていこうとする努力の妨げになることさえあります。」
   ≪活動報告≫ 11.7.4


 ■ 新聞記事 『東日本大震災:遺族支える 「悲嘆ケア」』
    毎日新聞 2011年4月16日
   『東日本大震災:遺族支える 「悲嘆ケア」』
   「巽さんより5歳ほど年上の男性は、津波で母と妻を失った。ひつぎの中には数珠などが置
   かれた遺体袋が一つ。巽さんが袋を少し開けると捜し続けた顔がそこにあった。「ありがと
   うございます」。男性は短く言って頭を下げた。
    妻の着ていた冷たい服を手に、顔を見つめる男性のかけた眼鏡があふれる涙でくもり始め
   ていく。そばに立つ巽さんは、のどまで出かかる慰めの言葉をのみ込んだ。訓練で学んだ言
   葉が頭に浮かぶ。「安易な声かけに傷つく人もいる。遺族のペースを最優先に。あくまで寄
   り添うことが大切だ」。発見された場所や状況、死因。遺族の疑問に正確に、分かりやすく
   答える。犠牲者の最期を知り、尊厳を持って見送ることは、遺族のケアの第一歩になるから
   だ。」


 ■ 『震災トラウマと復興ストレス』
    宮地 尚子著
    岩波ブックレット (2011年)
   「この本は、被災地の方々向けてというよりも、外部から支援やボランティアに携わる人た
   ち、復興構想や政策に関わる人たち、遠くにいて何もできないけれど、被災者に寄り添って、
   深くものごとを考えたいと思っている人たちに向けて書いています。もちろん被災者の方々
   にとっても意味あるものにしたいと思っています。(はじめに より)

 ■ 『遺体が救援者に引き起こす気持ちの変化』
    重村 淳(防衛医科大学校 精神科学講座 /精神科
    日本トラウマティック・ストレス学会
   『遺体が救援者に引き起こす気持ちの変化』
   「【基本的な心構え】
    業務の目標を忘れないで下さい。 そして、それを見失わようにして下さい。
    業務前に「心の準備」をすることは簡単ではありません。そために、業務内容何が求めら
   れているのか、可能な限り事前に知ことが大切です。また同じよう経験をした同僚から話を
   聞くことも大切です。
    休憩をこまめにとり、衛生を保ち、食事と水分をしっか摂って下さい。
    業務外の時間では、心身ともに休ん下さい。」


 ■ [実践報告] 『災害急性期からの遺族支援』
     ―遺体安置所でのDMORT活動から―
    村上典子 神戸赤十字病院心療内科 他
    『トラウマティック・ストレス』  2011.2号
   「DMORT(Disaster Mortuary Operational Response Team 災害時遺族・遺体対応派遣
   チーム)とは、米国におけるDMAT(Disaster Medical Assistance Team 災害時医療支援
   チーム)の特殊チームとして災害直後から活動する専門家ボランティア。
    ……遺体の身元確認や修復、遺族への連絡とグリーフケアを行っている……」
    2005年4月のJR福知山線脱線事故の時に遺族からだされたメッセージ「亡くなると
   遺体はものになってしまうのかもしれないが、家族(遺族)の存在を忘れないでほしい」
    「負傷者は回復していくが、遺族はそのまま、むしろ悪くなっていく」「初期対応によっ
   て少しでも遺族は救われる」「現場に遺族の心のケアに配慮してくれる人もいてほしい」を
   受け止めて活動は開始されました。


 ■ 『愛する人を亡くした時』
    アール・A・グロルマン 著
    春秋社
   「死別の悲しみを癒すための10の指針」
    1、どのような感情もすべて受け入れよう。
    2、感情を外に出そう。
    3、悲しみが一夜にして癒えるなどとは思わないように。
    4、わが子とともに悲しみを癒そう。
    5、孤独の世界へ逃げ込むのは、悲しみを癒す間違った方法。
    6、友人は大切な存在。
    7、自助グループの力を借りて、自分や他の人を助けよう。
    8、カウンセリングを受けることも悲しみを癒すのに役立つ。
    9、自分を大切に。
    10、愛する人との死別という苦しい体験を意味ある体験に変えるように努力しよう。


 ■ 『すばらしい悲しみ』 ―グリーフが癒される10の段階― 
    グレンジャー・E・ウェストバーグ 著
    地曳網出版(2007年)
    グリーフ(Grief)とは「深い悲しみ」の意味です。著者は、深い悲しみが癒されるには
   10段階のプロセスがあるといいます。
    グリーフケアの古典です。
    『素晴らしい悲しみ』
    ≪活動報告≫ 11.4.18


inserted by FC2 system