|
| |
「労働は、商品ではない」と再確認
ILOは、第二次世界大戦を防げなかったことを深刻に受け止めます。
そのなかから44年4月アメリカのフィラデルフィアで開かれた第26回総会では「労働は、商
品ではない」と再確認した宣言を採択します。さらに貧困と飢餓、差別が戦争を生むと結論づけ、
宣言の第2章で「永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立できるという国際労働機関憲章
の宣言の真実性が経験上充分に証明されていると信じて、総会は「すべての人間は、人種、信条又
は性に関わりなく、自由及び尊厳並びに経済的保障及び機会均等の条件において、物質的福祉及び
精神的発展を追及する権利を持つ」などの確認をおこないました。
労働者の地位は平和の追求と関連しています。日本国憲法の精神はこの世界の労働者が積み上げ
てきた成果のILO憲章・宣言にリンクしています。
労働時間短縮は戦後におよんでも日本だけの問題ではありませんでした。
60年代にはいりILO総会で論議が進められましたが、日本政府は反対の論陣を張ります。そ
の理由は、労働者の生活条件を改善するには労働時間と賃金の2つが問題になるが、どちらを優先
するかはその国の社会的・経済的条件によって異なる、時短は団体交渉の課題で国際労働基準によ
って規律されるものではない、そして被占領期間中のアメリカからの援助の返済、旧占領国への賠
償、破壊された都市の建設など戦後処理が終っていないからハードワークはまだ必要ということで
した。労働者の人間性は出てきません。
追放されていた戦犯たち、財閥は復権します。
西欧とちがう日本の産業構造の特徴は、旧財閥や大企業が階層的に系列化した下請化、外注化の
膨大な中小企業、零細企業を抱えていることです。中小・零細企業になるほど労働時間は正比例す
るが賃金は反比例します。「神武景気」「なべ底不況」「岩戸景気」の影響はすべてに平等にもた
たらされない。景気は先取りするものたちと遅れておこぼれをもらうものたちとに分かれ、不況は
おこぼれをもらったものに真っ先に押し寄せます。
結果的には62年、第116号時間短縮の勧告は圧倒的多数で採択された。
戦後処理をきちんと進めたドイツは、労働時間の短縮もきちんと進めました。日本政府の主張は
今に至るの言い訳でしかありません。
|
|