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QCサークルがものが言えない「企業文化」を醸成
50年代から鉄鋼の職場を中心に、アメリカで発展した活動・運動である統計的品質管理の手法、
いわゆるQC(Quality Control 品質管理)活動、ZD(Zero Defect 無欠陥)運動が導入されま
す。アメリカでは会計、人事、法務、調査研究などの基本機能を補佐する職能や部門であるいわゆ
るスタッフが創意工夫を積極的に生産過程で生かすためのインフォーマルな小集団活動です。適性
品質の設定とその維持、効率的検査と品質保証が目的です。
日本に導入された当初も、スタッフである技術者の意識を品質管理に向けさせる目的でした。し
かしまもなく名称は同じでも、内容はまったく違うものに変形していきます。会社主導のQC運動、
ZD運動、改善提案、目標活動、危険予知機訓練などを総称した自主管理活動と呼ばれ運動になっ
ていきます。
そして企業の枠を越えた全国的なQCサークル運動として発展し、各会社においては60年代に
入り小集団の集団主義的運動として財務、製造、販売などのいわゆるラインの職場末端まで導入さ
れていきました。
「QCサークルとは、同じ職場で、品質管理活動を、自主的に行う小グループで、この小グルー
プは、全会社的品質管理の一環として、自己啓発、相互啓発を行い、QC手法を活用して、職場の
管理、改善を、継続的に、全員参加で行うことである」と本部の「綱領」でうたっています。そし
て活動の基本理念として「(1)企業の体質改善・発展に寄与する。(2)人間性を尊重して、生
きがいのある明るい職場をつくる。(3)人間の能力を発揮し、無限の可能性を引き出す。」とあ
ります。
職場の問題が労働組合ではなくQCサークルに持ち込まれました。同時に水平な監視機能と共同
責任として作用し、きわめて過酷な労働強化と企業への従属を強いられていきます。サークルの仲
間全員で残業をする、遠慮して休暇は取れない状況にまりました。「やりがい」の競争は賃金に跳
ね返ります。結局は会社の意図、目的に自己同一化することが強制されていきます。このようにし
て1つづつものが言えない「企業文化」が醸成されていきました。
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