いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター(IMC)




















  『本』の中のメンタルヘルス 日本




    労働者保護政策は遅延に遅延
     坂寄俊男著『社会保障』(岩波新書)

    日本の工場法は、1911年に制定され、しばらくたった第一次世界大戦中の16年9月1日か
   ら施行されます。好景気で労働者も増大していました。15人以上雇用する工場での12時間労働
   制などが盛り込まれます。しかし製糸・紡績工場で働く女性労働者などは適用除外となりました。
    工場法制定の動きはもっと早くからありましたが工場主などの反対にあい、制定した時には労働
   者の保護は薄められてしまいます。
    ヨーロッパでは19世紀後半から8時間労働の要求が出されていました。1日を3等分し、8時
   間の睡眠を取り、8時間の生活時間をもち、残りの8時間を働くという本来の人間性からの要求で
   す。

    明治25年(1892年)に後藤新平衛生局長は『労工疾病保険法』と題する演説をする。明治
   30年(1897年)、第三次伊藤内閣に提出した意見書には具体的な『労働者疾病保険法案』が
   添付され、しかもこの法案の第27条には『コノ法律ハ明治31年7月1日ヨリ施行ス』とまで書
   かれている。このように社会保険制度に対する知識をもち、その必要性が行政面から要望されてい
   ながら、健康保険法の公布をみたのは大正11年(1922年)であり、実施は昭和2年(192
   7年)であった。

    このように工場法にしても健康保険法にしても、法案制定の動きから法制化、そして施行までに
   かなりの期間を要しています。


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