いじめ・メンタルヘルス労働者支援センター(IMC)



















 こ こ ろ の ケ ア   こころの癒し  






   「ほどける」


 こころがほどけた その時に
 人は あったかい涙がこぼれます

 心がほどけた その時に
 人は あったかい笑顔がこぼれます

 こころがほどけた その時に
 人は 互いに強く引き合います

 心がほどけた その時に
 人は大きく許しあいます

            ~(後略)

     (「あったかい手」 小野﨑美紀編
             :発行ぱんたか)

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         「頑張って」「がんばれ」「ガンバレ」 もう沢山!


             私とっくに 頑張っています

                                                                     「朝日歌壇」 11.5.16



  『制度や専門家だけが
   人の心の傷を癒すのではない』
      安 克昌著『心の傷を癒すということ』
               (角川ソフィア文庫)

   「著者の安さんは、神戸大学附属病院の精神
   科医だった18年前、阪神・淡路大震災で自
   らも被災しながら混乱の被災地で全国から集
   まった精神科ボランティアをコーディネート
   し、避難所などでカウンセリングや診療活動
   を行った方です。
    現場でしか感じ取れない被災者・救援者両
   方の心の傷やストレス、当事者としての震災
   報道への違和感、復興期における長期的な心
   のケアの必要性など、専門家として、また一
   人の人間としてつづった貴重な記録となって
   います。
    本の随所に今回の東日本大震災と重なる部
   分が多々あり、まるで私たちが今体験してい
   ることをそのまま代弁しているかのような不
   思議な感覚を覚えました。
    私は、この本から何を学びたくて手に取っ
   たのか・・・。その答えは最後の数ページに
   ありました。
    『制度や専門家だけが人の心の傷を癒すの
   ではない』という安さんのメッセージです。
   「・・苦しみを癒すことよりも、それを理解
   することよりも前に、苦しみがそこにある、
   ということに、われわれは気づかなくてはな
   らない。だがこの問いには声がない。それは
   発する場をもたない。それは隣人としてその
   人の傍にたたずんだとき、はじめて感じられ
   るものなのだ。」
    被災した子どもたち、家族を亡くした人た
   ちにどうやって接していけばいいのかずっと
   悩んでいましたが、安さんの言葉はやさしく
   私に勇気を与えてくれました。」
       (河北新報 13.2.21 から)


 ★ 『トラウマ』
    宮地 尚子著  岩波新書 (2013年)
   「『心のケア』というとき、第一に必要なことは、『心のケア』=『メンタルヘルス』を被
   災者・被害者に提供することよりも、『メンタリー・ヘルシー』な対応や施策を、社会全体
   が心がけることだと私は思います。何がメンタリー・ヘルシーかというと、個々の被災者・
   被害者が深く傷ついているということ、回復の道のりが新たなストレスをもたらすこともあ
   るということを認識しておくことです。その上で、当事者が希望やつながりを感じられるよ
   うなビジョンを社会が一緒に考え、実行していくことだと思うのです。対応や施策は、あく
   までも当事者主権、被害者や被災者主導であってほしいと思います。
    トラウマ体験は、その人から安心感やコントロール感を奪い、無力感を刻みつけ、未来へ
   の展望を失わせます。だからこそ、安心感とコントロール感を取戻し、未来を想像しながら、
   自身の力を再び発揮できるようになることが、トラウマからの回復には大切です。」


 ★ 『傷を愛せるか』
    宮地 尚子著  大月書店 (2010年)
   「学会では米国の専門家による招待講演もあり、イラク戦争に参加した米兵のPTSD研究
   の紹介がされていた。講演を聞きながらわたしは、『トラウマ研究は何時から、戦っても傷
   つかない人間をふやすための学問になったのだろう』と思った。潤沢な予算がPTSDの予
   防や治療の研究につぎ込まれることと、平然と戦地へ兵士を送り出すことは、米国では矛盾
   しない。米兵のPTSDの有無や危険因子は調査され、発症予防や周期回復のための対策は
   練られるか、派兵をやめようという提案にはならない。イラクの人たちのPTSDについて
   は調査どころか、言及さえない。そのことに違和感をもつ人はいないのだろうかと周囲を見
   回すが、みんな熱心に講演に聞き入っている。孤立感を覚える。」
   「傷を愛せるか」


 ★ 『「心の専門家」 はいらない』
      小沢 牧子 著  洋泉社新書(2010年)
   「カウンセリング願望の背景には、お互いを値踏みしあう競争社会が広がっている。『心の
   専門家』は基本的に没社会的で・個人還元的で、問題を社会の問題としてではなく、個人の
   資質や家族のいたらなさ、つまり個人の問題へ閉じ込めていく役割を担っている。
    この背景には、極限化する情報・消費社会を浮遊する個人の寄る辺ない心情が存在する。
   この心情は従って、カウンセリングとは限らず、宗教とも独裁とも結びつくようなものであ
   る。透明なカプセルに一人ずる閉じ込められ外から値踏みされるような気分が世の中を支配
   している。
    自助努力、自己責任、個性の育成、規制緩和、自由競争、グローバリゼーション、まして
   負け組み勝ち組みなどの言葉は、能力主義の進行を意味している。
    こうした社会的背景と関連して、(カウンセリングをイメージする)学生たちの記述に、
   ひとまとまりになる言葉のグループ―『自分らしさの発見』という種類の内容をもった―も
   のがある。
    カウンセリングはきっと自分自身を発見させてくれる、自分らしさを引き出してくれる、
   本来の自分を見出すことができる、よりよい自分になれる、などである。じつは個人は関係
   のなかに揺れ動く状況的存在で、相互に影響しあい、個別にそれぞれを括りだすことなどで
   きないのだという、自明とも思われる観点は、ほとんど通用しなくなっている。『ほんとう
   の自分さがし』の流行には、人間が相互の関係のなかで生きているのだという観点が欠落し
   ている。」


 ★ 『戦争と民衆 戦争体験を問い直す』
      旬報社刊
   「トラウマの生存者は、過去の記憶と共に生きているのではない。終わることのない、完了
   することがない<出来事>と共にあるのだ。生存者にとってその<出来事>は今も続いてい
   る。トラウマは、あらゆる意味で現在進行形のものなのだ。」
   「トラウマは、発せられた言葉だけでなく、語られた越えた領域――沈黙――に耳を澄ます
   ことを私たちに迫る。もし、生存者を痛みから解き放ち共に生きようとするのであれば。
    ホロコースト生存者の語りと沈黙を聞いてきたD・ローブは、体験者が『証言者』として
   トラウマから旅立つためには、『真摯に耳を傾ける聴き手が、証言者が語りかける相手』が
   必要だと強調する。『証言は独り言ではない。それは孤独のなかでは生まれてこない。生き
   残った者は誰かに語りかけているのだ。長い間待ち続けた誰かに』
    ……トラウマから回復するには、他者の存在が重要だと指摘する。
    心的外傷の体験の中核は何であろうか。それは、無力化(disempowerment)と他者から
   の離断(disconnection)である。だからこそ、回復の基礎はその後を生きる者に有力化
   (empowerment)を行い、他者との新しい結びつきを創る(creation of connections)こ
   とにある。回復は人間関係の網の目を背景にしてはじめて起こり、孤立状態においては起こ
   らない。生存者は心的外傷体験によって損なわれ歪められた心的能力を他の人との関係が新
   しく蘇るなかで創り直すものである。」
          (直野章子 論文 「原爆体験」)


 ★ 『犯罪被害者の心の傷』
      小西 聖子 著   白水社 (2006年)
   「まず、被害者カウンセリングの基本は聞くことである。そして、生々しい感情とともに整
   理されないままに残っているトラウマチックな記憶を、普通の記憶として再構成することで
   ある。それから、被害者に再び生きる力を持ってもらうことである。……
    喪われたものは回復しない。被害は突然意味なくやってくる。努力が必ず報いられるとは
   限らない。理不尽なものだ。
    被害者カウンセリングはそこから出発するしかない。回復しない被害を回復すると言いく
   るめたり、やさしくない運命をほんとうはやさしいのだと言いくるめることは、被害者カウ
   ンセリングの本質とは反対のことである。そういうごまかしをいっさいやらなくても、聞く
   ことで人を援助することはできるのである。」


 ★ 『生きるのがつらい。 「一億総うつ時代」の心理学』
     諸冨 祥彦 著   平凡社新書(2005年)
   「こうした人は、不平不満を言うことが、自分の存在証明になってしまっています。
    彼らにとって人生の一番の喜びが、つらさを抱えていることにさえなってしまうのです。
   不平不満を取り除いてしまうと、自分には何も残らない。愚痴や文句を言う対象がなくなる
   と、困ってしまうのです。
    ……
    つらい現実に開き直り、復讐心が目覚めてしまうような人も、それに似た心理状態にある
   と言えるでしょう。自分が人生の失敗者であることに、どこか会館や安定感を覚えてしまっ
   ているのです。」


 ★ 『傷つくのがこわい』
      根本 橘夫 著   文春新書 (2005年)
   「プライドが高いから傷つきやすいのだと、単純に考える人がいます。そうではなく、この
   高いプライドの根底には自己無価値観があるのです。高いプライドは、その自己無価値観の
   上に立つ砂上の楼閣だからこそ、傷つきやすいのです。
    こうした防衛的なプライドは、自分本来の充実感や満足感を大事にすることを放棄して、
   自分の価値をもっぱら他の人の評価によって実感しようとすることです。しかし、他の人が
   どう思うかは、その当人が決めることです。ですから、自己価値が充実できるかどうかは、
   相手次第ということになります。
    このために、防衛的なプライドを持つ人は、いつも他の人に蹂躙されているような感じが
   します。……やはり傷つくことの根底には自己価値観の問題があるということに至りました。
    ……しかし、復讐を誓って生きることは、自分の心を憎むべき相手によって支配されてし
   まっていることです。相手に自分の人生を握られてしまっていることです。
    ですから、憎しみの感情を秘めていても、相手にどう仕返しをするか心を向けるのではな
   く、自分の夢に心を向けることです。夢の実現に現実のエネルギーを集中して日々を過ごす
   ことです。」


 ★ 『黒い虹 阪神大震災遺児たちの1年』
      あしなが育英会   廣済堂出版
    阪神淡路大震災で親を亡くしたいわゆる震災孤児は569人にのぼりました。
    あしなが育英会は、震災孤児の戸別訪問調査を行いました。
   「今回の震災で『復興』という言葉が使われていますが、その言葉は嫌いです。私たちみた
   いな者にとっては、壊れたものは壊れたものとしてそのまま残るんです。心の傷は残ったま
   まなんです。壊れたものや亡くした人を蘇らせることなんてできない。やり直すのではなく、
   また新しいものを作っていこうとしなければならないんだと思います。」

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