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◆ 「労災認定基準」に「カスハラ」を追加
「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(案)」23年6月20日
6月20日、厚労省の精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会は、「精神障害の労災
認定の基準に関する専門検討会報告書(案)」を発表しました。案はこの後いくつかの修正を
へて正式な報告書となり今秋にも運用開始になります。
改正される「労災認定基準」で使用される「業務による心理的負荷評価表」に、「具体的出
来事」27としていわゆるカスタマーハラスメント・「顧客や取引先、施設利用者等から著し
い迷惑行為を受けた」が新たに加えられます。
「心理的負荷の総合評価の視点」は「・迷惑行為に至る経緯や状況等 ・迷惑行為の内容、
程度、顧客等(相手方)との職務上の関係等 ・反復・継続など執拗性の状況 ・その後の業
務への支障等 ・会社の対応の有無及び内容、改善の状況等 (注)著しい迷惑行為とは、暴
行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等をいう。」です。
そして今回、パワハラ防止法の対象外となっていたカスハラが「出来事の類型」に追加され
ます。しかし「労災認定基準」は起きてしまったことについての判断基準で「予防・防止」を
目的とするものではありません。起きてしまったことを「基準」・幅をもって判断するので、
労災と認定されなかった事案がハラスメントに「該当しない」ということではありません。
「該当しない」基準は、日常的に使用者の「ここまでは許される」という判断になっていま
す。被害者の人権・人格を無視した対応をはびこらせる状況を作り出しています。
「該当しない」と同じようなものとして厚労省は「指針」等を作成しています。カスハラに
ついては22年2月、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公開しました。しか
しこれらは根本的予防・防止にはなりません。
6月16日に成立した「LGBT理解増進法」は、当初の「差別は許されない」の基本理念
が「不当な差別はあってはならない」に修正されました。差別に正当なものと不当なものがあ
るように読み取れます。
許される差別などありません。おなじく許されるハラスメントなどありません。
『「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(案)」
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◆ 「カスハラ対策の基本は従業員をしっかりと守る」
中央労働委員会主催の九州沖縄地区労使関係セミナー 22年12月19日
22年12月19日、中央労働委員会主催の九州沖縄地区労使関係セミナーでは、成蹊大学
の原昌登教授による『パワーハラスメント ~労働施策総合推進法の全面施行を踏まえた対応、
また、カスタマーハラスメント等の対策なども含めて~』の講演がおこなわれました。
・・・
カスハラ対応は、経M営者は、カスハラは「経営課題」であるという意識が重要です。
直接的に被害を受ける従業員(店舗の店員等)を守ります。
企業自身や他の顧客へもマイナスの影響があります。誰も、カスハラがまん延する店舗等を
使いたいとは思わないので顧客離れがおきます。「お客様は神様」というのなら、カスハラを
野放しにしてはいけません。
法的には、顧客によるカスハラ行為は「不法行為」等に該当しうるので、被害者や被害企業
から加害者(顧客)に対し賠償を請求できる可能性もあります。また。カスハラ対応による他
の業務の停滞、不必要な対応による金銭的な損失等もおきるなどさまざまな問題が起きてきま
す。
基本的には従業員をしっかりと守ることが大切です。
現時点で、企業はカスハラに対する具体的な「防止措置義務」はありません。しかし「安全
配慮義務」を従業員に負っています。何も対応しなければ安全配慮義務違反で賠償責任を問わ
れることはあります。
『パワーハラスメント・・・カスタマーハラスメント等の対策なども含めて~』
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◆ 「カスタマー・ハラスメントに関する調査2022」
2022年12月12日
日本労働組合総連合会
「直近 3 年間で自身がカスタマー・ハラスメントを受けたことがある人(675 名)に、
どのようなハラスメントを受けたことがあるか聞いたところ、「暴言」(55.3%)が最
も高くなりました。仕事中に乱暴な言葉や無礼な言葉を浴びせられたという人が多いようで
す。次いで高くなったのは、「説教など、権威的な態度」(46.7%)、「同じクレーム
内容の執拗な繰り返し」(32.4%)、「威嚇・脅迫」(31.9%)、「勤務先への不当
な苦情、投稿(アンケート・お客様の声など含む)」(23.9%)と、受け手が委縮して
しまうような言動や業務妨害となるような行為が上位に挙がりました。
男女別にみると、女性では「セクハラ行為」が16.6%と、男性(3.1%)と比べて1
0 ポイント以上高くなりました。」
「カスタマー・ハラスメントに関する調査2022」
≪「最近のニュースから」No.151≫
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◆ 「『職場における迷惑行為、悪質クレームに関する調査』報告書」
2020年10月実施
全日本自治団体労働組合
6.迷惑行為や悪質クレームを繰り返す住民
迷惑行為や悪質クレームを繰り返して行う住民の有無をみると、「何回も繰り返す人は
いない」は9.4%にとどまっている。すなわち9割近い職員(88.4%)は、迷惑行為
や悪質クレームを同じ住民から繰り返し受けているといえる(第 1-10 表)。
こうした同じ住民から迷惑行為や悪質クレームを受けている頻度をみると、「中には何
回も繰り返す人がいる」が48.7%と約半数を占めているが、「半数以上が同じ人であ
る」も16.4%と2割近い。
特に、迷惑行為や悪質クレームを住民が「ほとんど同じ人である」と訴える人が23.
3%に達している。約4分の1の職員にとっては「同じ人」から日常的に迷惑行為や悪質
クレームを受けている実態であることが明らかになっている。
「『職場における迷惑行為、悪質クレームに関する調査』報告書」
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◆ 「職場のパワーハラスメントに関する ヒアリング調査結果」
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 2019年6月
第2章 顧客や取引先からの著しい迷惑行為への対応について
2 顧客や取引先からの著しい迷惑行為の具体的内容と対応状況等
・アンケートをとったところ、顧客からの迷惑行為事例で多いのは、返品におけるト
ラブル(年数が経過している中での返品、百貨店だったら出来るだろうといった
話)、接客クレーム(悪質であれば上を出せ、金品の要求など)、社員が名札をつ
けており売り場が固定しているので、ストーカーまがいの行為、SNS で実名をさら
された、高いものを売っているので、これくらいサービスしろと言う要求、長時間
拘束、土下座など。
百貨店は経験率が8割以上となっており、高かった。
(6) 顧客や取引先からの著しい迷惑行為するに対応に当たって、困難な点
・「お客様は神様」「客の言うことは何でも従え」という考えをお持ちの一部の方に、
何らかの対応が必要と考える。法律で規定するか、どういう形で周知をするのが一
番効果的かが重要と思われる。これ以上の行為は何らかの罪になるということが明
示できれば安心できると考えている。現状では、お客様から何か言われても黙って
耐えるだけなので、店側がお客様に対応するときに根拠となるようなものを行政か
ら出してもらいたい。
「職場のパワーハラスメントに関する ヒアリング調査結果書」
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◆ 「UAゼンセンのハラスメント対策の取り組み
~カスタマーハラスメントを中心に
UAゼンセン 2019年
悪質クレーム(迷惑行為)の具体的な事例。
●お客さまのストレスのはけ口になっていて、「このババア」と言われました。
●商品の場所を案内したら、遠回りさせられたと怒り出し「バカ、死ね、辞めろ!」
と怒鳴られました。
●売場にない商品を商品部に確認する時間を求めたら、今すぐ答えろと長時間繰り返
しされ、今すぐは答えられないと告げても理解してもらえず、長時間対応を迫られ
ました。
●何が気にさわったのか理由も言わず「仕事ができない体にしてやることもできる」
と言われました。
●商品が冷めていると怒り返金を要求されました。返金対応をしたのですが、金銭を
投げつけられ土下座を要求されました。
●惣菜の価格が間違っていると言われたので確認に行こうとしたら、「待たせるな!」
と怒鳴られ3時間説教され続けました。
●夜に勤務時間時、品出しをしていたら、男性から肉体関係の誘いを受けました。
●お客様の性的な内容の話を我慢して聞いていたら、エスカレートして体を触られた
り抱き着かれたりしました。
「UAゼンセンのハラスメント対策の取り組み」
◆ 「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査 分析結果
迷惑行為被害によるストレス対処及び悪質クレーム行為の
明確化について」
東洋大学教授 桐生正幸 2019年
「それらの迷惑行為への対応として、約4割が『謝り続けた』、としている。『謝り続け
る』という行為は、自分の感情を表出できず、ただひたすら我慢して謝り続けることであり、
感情的不協和が増える可能性がある。また5%が、『何もできなかった』と答えており、対
応担当である自分が何もできなかったことに対する虚無感、ネガティブな気持ちや自己肯定
感の低下も危惧されよう。
さらに同調査では、『自分の取った対応の結果、問題の行為が収まった』と答えた者は6
割程度にとどまり、残りの4割近くは、『収まらなかった』『さらに態度がエスカレートし
た』『長時間の対応を迫られた』と答えている。自分の取った対応によって事態が収まらな
かったと感じることは、自身の『できる』『なんとかなる』という気持ち=自己効力感やコ
ントロール感を下げる可能性があり、さらなるメンタルヘルスへの悪影響が憂慮される。」
「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査 分析結果」
◆ 速報版 「悪質クレーム対策(迷惑行為) アンケート調査結果
~サービスする側、受ける側が 共に尊重される社会をめざして~
UAゼンセン流通部門調査 2017年10月
「クレームとは、商品・サービスに関して消費者から不満がおこり、会社(店舗)に責任あ
る対応を求められることです。クレームは消費者の意見がわかるアンテナでもあり、サービ
スを向上させるためには有益な情報であるため、誠意ある対応をしていく事が基本的な姿勢
として求められます。
しかしながら、近年、報道等で謝罪している場面を数多く見かけるようになり、日常的に
消費者から店舗で謝罪要求を受けるようになっています。また、消費者の不当な要求を受け
日常の仕事に支障が生じ、流通・サービス業に従事する労働者に大きなストレスを与える事
例が後を絶ちません。消費者からの不当な要求は、ハラスメントの新しい領域としても社会
的な問題となっています。
また、私たちの産業は、顧客第一主義を大原則に掲げ、消費者の行動は常に正しいとの認
識が強く、消費者からの意見に対しては不当なものであっても耐えなくてはいけない風潮が
あります。そして、そのことが社会的にもモンスター化する消費者を助長させ、接客応対の
難しさから退職者の増加や働く仕事として敬遠される傾向にあると言えます。」
「悪質クレーム対策(迷惑行為) アンケート調査結果」
≪活動報告≫ 17.11.22
◆ 「悪質クレームの定義とその対応に関するガイドライン」
UAゼンセン流通部門調査 2017年9月
「企業としては、対策が必要です。
(1)クレームが発生しないような予防策を講じることが重要です。予防策の効果が
大きいと考えられる方法が教育・研修の実施です。
(2)企業として悪質クレームには毅然とした対応方針を明確に打ち出すことが重要
です。企業が職場で働く者の後ろ盾となり、お客様と接する際の安心感を高める
ことが最大の効果をもたらすものとして期待できます。
(3)クレーム事案の発生、被害拡大、再発などの防止に対しては「ミスは起り得る」
との認識に立ちクレーム情報を一元的に管理するため、報告(連絡)の徹底を指
導します。
(4)クレーム対応は発生した内容と、種々の分類により変化することを認識し、業
務に必要な知識等の研鑽に努めるとともに、顧客に応じた適切な措置が取れるよ
うな判断能力などの向上を図ります。
(5)相談窓口を設置し、クレーム対応業務には様々な専門知識と豊富な見識を持ち、
さらには対応感度の高い人材を配置することが望まれます。一人で対応しきれな
い悪質クレーマーに遭遇した場合など、精神が疲弊する前に担当者を交代するこ
とも時には必要であり、担当者を孤立させないことが企業としても重要です。
(6)日常で起こっているクレームの対応について、社内での情報交換や他企業の対
応の研究といった勉強会をしていくことが、対応レベルのスキル向上に大きく貢
献します。
(7)特に店舗においては、地域行政・警察・保険所など関係各所とのコミュニケー
ションを日常的に行い、クレーム発生時には相談できる体制をつくり迅速な対応
ができるようにしておきます。」
「悪質クレームの定義とその対応に関するガイドライン」
≪活動報告≫ 17.10.6
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◆ 「連合 消費者行動に関する実態調査」
連合 17.12.21
日本労働組合総連合会(連合)は、消費者行動関する実態を把握するため、201
7年11月13日~11月14日の2日間、「消費者行動に関する実態調査」を、イ
ンターネットリサーチにより実 施し、全国の15歳~69歳の男女2.000名(一
般消費者1.000名、接客業務従事者1.000名)の有効サンプルを集計しました。
その中からは
・消費者からの迷惑行為接客業務従事者の半数以上が「受けたことがある」一般消費
者の約6割が接客業務従事者への迷惑行為を見聞きした経験あり
・他の消費者の迷惑行為 一般消費者の8割以上が「不愉快」
・勤務先で「迷惑行為に関するマニュアル作成や教育を行っていない」約6割
・消費者の迷惑行為をなくすために必要なこと 1位「消費者への啓発活動」
などの問題が浮かび上がってきました。
「連合 消費者行動に関する実態調査」
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◆ 新聞記事 「『クレーマー』に勝訴…業務妨害を認定 大阪地裁」
毎日新聞 16.7.19
「職員への暴言や膨大な数の情報公開請求などを繰り返し、大阪市住吉区役所の業務
に支障をきたしたとして、大阪市が大阪府内在住の50代男性に損害賠償などを求め
た訴訟で、大阪地裁が威圧的な要求の禁止や賠償金80万円の支払いを男性に命じる
判決を出していたことが分かった。住民側の悪質な要求について自治体側の『業務妨
害』との主張を認め、賠償を認めた判決は極めて異例という。」
「『クレーマー』に勝訴…業務妨害を認定 大阪地裁」
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◆ 本『“職場のいじめ” 労働相談』
いじめ メンタルヘルス労働者支援センター 千葉 茂 著
緑風出版 2000円 + 税
「第6章は、『職場の暴力』 について問題提起をしました。
『職場の暴力』とは、顧客や得意先からの暴言や暴力行為です。下請会社や関連会社
への無理の強制なども含みます。日本では鉄道職員への暴行、行政窓口職員への罵倒、
学校でのモンスターペアレントなども含みます。しかし取り組みは進んでいません。
韓国では「職場の暴力」を「感情労働」と捉えて対策が進んでいます。
感情労働に従事する労働者は、最初は「感情手当」を要求しました。しかしそれで
は解決しないと『感情休暇』を要求しました。それでも解決しないとわかると“社会
的認識変化の努力”の要求を掲げました。『無理な要求をする顧客に一方的に謝らな
い権利を与えなければならない』『顧客が王様なら、従業員も王様だ』という問題提
起をしています。
日本における行政窓口における暴力は生活に直結する部局の窓口で発生しています。
援助を求めてきた住民は最初から暴言を吐いたり暴行を働くことはしません。自治体
窓口は、担当者が意識しているかどうかに関係なく『小さな政府』の末端機関です。
そこでのやり取りりの中でトラブルに発展していきます。しかも最近窓口職員は非正
規労働者がかなりを占めています。悲しい現実です。」
≪活動報告≫ 14.6.20
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◆ 新聞記事 ルポルタージュ現在
「きょうも怒鳴られる 見えぬ顧客、受け止めます」
朝日新聞 12.11.7
「電話が長引けば、待たせる電話がまた増える。悪循環だ。
『僕が怒鳴られてるわけじゃない。たまたまぶつけられてるだけ」。働き始めて1
年半。こんな電話を受けるたびに、そう自分に言い聞かせている。 ……
一緒に入った13人のうち残っているのは2人だけ。みんな『体調不良』などを理
由に辞めていった。
『一回折れてしまうと、立ち直れない人が多いですね』。」
「きょうも怒鳴られる 見えぬ顧客、受け止めます」
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◆ 「小売業におけるストレス対処への支援」
厚生労働省 中央労働災害防止協会 11.3
「小売業の仕事に特徴的なものとして、接客、すなわちお客と接し対応することが挙
げられます。……
しかしながらこのような事柄は、例えばトラブルが発生してしまったような場合に、
従業員がお客様に対して過度に責任を大きく感じてしまったり、無理して対応を続け
るあまり、疲弊してしまったりするようなこともあるかもしれません。そのようなこ
とは、小売業に特徴的で、小売業に従事しているからこそ存在する仕事のストレス要
因であると考えられます。
「小売業におけるストレス対処への支援」
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★ 「地域保健・医療・福祉従事者が体験する職場暴力
―看過ごされてきた領域 看過ごされてきた領域 ―」
厚生労働科学研究費補助金(健康安全・危機管理対策総合事業) 分担研究報告
分担研究者 佐野 信也 防衛医科大学校准教授
「身体に加えられる攻撃、暴力についてはその有無も程度も評価しやすく、排除され
るべきであることに異論はないだろうが、暴力、すなわち心理的な脅威に関しては可
視的評価が困難である。スタッフの必ずしも適切とはいえない発言や態度に触発され
た患者やクライアントの暴力であればなおさら、それをインシデント・アクシデント
として報告していく事情も生じる。実際、攻撃的な職場や態度による心理的暴力が暴
力の一形態であるとすべての調査において認められているわけではないものの,職業
的「燃えつき」現象と密接に関連する「職務満足度(jobsatisfaction)」に対する心
理的暴力の影響は大きいことが広く知られている。
最近の調査・研究,それらに基づいて編まれたガイドラインでは通常,身体的,心
理的両面における攻撃的言動,脅迫的・威嚇的言動,性的嫌がらせ,執拗なつきまと
い行為,相談内容と直接関係ない反復的な電話等々,広範囲の侵害行為を職場暴力
(Workplace Violence;
WPV)に含めている。」
「地域保健・医療・福祉従事者が体験する職場暴力」
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★ 『ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか 感情労働の時代』
武井 麻子 日本赤十字看護大学教授
大和書房
「英国の犯罪調査によると、全職種の平均的な暴力被害率は1.7パーセントですが、
医師、歯科医師、薬剤師などの医療関係者の犯罪被害率は3.7パーセント、看護師、
ソーシャルワーカーにいたっては5.66パーセントと、平均の3倍以上にのぼるそう
です。警察官、消防士、刑務所職員などは、15.6パーセントにものぼっていますが、
医療職はそうした職業に次ぐ、危険業務となっているのです。……
先ほどの英国の調査でも、被害率が高い職種に、『ホテル、レストラン、旅行会社
などの管理職』『タクシーやバスの運転手など』『スポーツアシスタント、旅行ガイ
ドなど』『教師、研究者など』といった、対人サービス職が軒並み挙げられています。
対人サービスは、顧客のニーズに応え、満足させることを主たる職務とする感情労
働です。
このことが拡大解釈され、『サービスの提供者は、顧客の要求するものはどんなに
理不尽なものであっても、すべて受け入れなければならない。受け入れてくれるはず』
という過大な期待、甘えが顧客側に強まっているようにも見えます。お金さえ払えば、
理想のサービスがいくらでも買えると思っているようです。
そして、その願いが叶えられないとわかるや、一気に暴言や暴力に転じるのです。」
『感情労働の時代』
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